複雑・ファジー小説
- Re: 超能力者の落ちこぼれ(500参照突破感謝!) ( No.86 )
- 日時: 2015/03/28 19:51
- 名前: ユッケ (ID: GrzIRc85)
音羽と並んで街を歩く。
いつもと同じように賑わう街。
休日だからとかそんな理由ではなく、ただ人が多いから、だから賑わっている。
目に入るのは他人。知らない人ばかり。
だからだろうか、雑踏の中彼を見つけたのは…。
「あれ、鈴也君だ」
「え? あ、本当だ!」
鈴也君は人混みを避けるように違う道に入っていった。
東雲先輩に頼まれてるし、もっと仲良くなりたいし、ちょっと追っかけてみようか。
「音羽、追いかけよう」
「うん! なんか探偵みたいでワクワクするね!」
「なんなら尾行してみる?」
「おお! ますます探偵っぽい!」
鈴也君が入っていった道の前まで来て驚く。
それは道ではなく隙間だった。壁と壁の間にできた隙間。
「……行こう、音羽」
「…うん」
こういう場所を行くのは初めてではない。
ただ、良い思い出も無い。
ここはもう、闇の中なのだと直感する。
それにしても随分違うものだ。
少し逸れただけで人気はどんどん無くなっていく。
陽が当たらないというか、全体的に暗い。
建物との間に出来た迷路なのだから当たり前か…。
「嫌な予感しかしないよ……中学2年生がふらっと入るような場所じゃない」
「そうだよね……あ、曲がったよ」
鈴也君は迷う事無くどんどん闇の中へと入っていく。
慣れているのか、それとも目的地が明確なのか…。
「あれ? いない!?」
失敗した。鈴也君を見失ってしまった!
曲がった先に誰も居ない。
どっちだ? 右か? それとも左か? またどこかを曲がったんだ!
「祐は右に! 私は左に行く!」
そう言って駆け出そうとした音羽の腕を掴む。
「待って! ここで1人になるのは危険だよ!」
「で、でも……!」
「落ち着こう、まだ近くに居るはずだよ」
そうは言ったが打つ手がない。
右か左か、どっちに行ったか分からない!
闇雲に捜し回って、この闇の迷路から出られなくなれば、それこそアウトだ。
どっちだ……一体どっちに曲がって行ったんだ——————!
「うわぁあああああ!!」
「鈴也君の声だ!」
「こっちから聞こえたよ!」
嫌な予感が的中した! 聞こえたのは悲鳴だった。
声のした方へ走る!
何があったかは分からないが、早く見つけなくてはきっと危ない!
頼むから間に合ってくれ!