複雑・ファジー小説
- Re: 超能力者の落ちこぼれ(500参照突破感謝!) ( No.87 )
- 日時: 2015/03/29 00:49
- 名前: ユッケ (ID: GrzIRc85)
「鈴也君!!」
「怪我は無い?!」
「三好さん!? 千年さん!?」
現場を見ても状況は理解出来なかった。
そこに居るのは鈴也君と倒れている少女。
鈴也君の足元に倒れている少女に見覚えがあった……真っ黒なダメージコート…彼女は間違いなくバジリスクだ!
「な、何でバジリスクがここに?」
「鈴也君、怪我は無い? 何があったの?」
「ぼ、僕は…ただ…認めてもらいたくて…」
「落ち着いて、ゆっくりでいいから。深呼吸して、ね?」
音羽のおかげで少し落ち着いた鈴也君は、ゆっくりと状況を教えてくれた。
「僕はパワーの手掛かりを掴んで事件を解決して、認めてもらいたかったんです……さっきここでパワーの売人を見つけて、そしたら……か、彼女が飛び込んできて、僕を庇って攻撃を受けて……」
「…わかった。とりあえず彼女を運ぼう。鈴也君、ここの地理分かるんだよね?」
「は、はい……」
鈴也君に例のパワースポット公園の方に抜けられないかを聞くと、近くまで抜けられるかもしれない、ということだった。
あまり人目に触れたくないという事もあり、裏路地をそのまま使うルートを提案する。
鈴也君に道案内を任せて、裏路地を更に縫って進み、公園の近くまで出て、あとは一番近い僕の部屋までどうにか帰ることが出来た。
ベッドの上にバジリスクを寝かせる。
彼女に怪我がないか、それは女の子の音羽に見てもらった。
彼女に外傷は一切なく、鈴也君に聞いても、相手の攻撃が何だったのかは分からなかった。見えなかった……そう言っていた。
「鈴也君、何であんな危険な事をしたの? あそこは中学生が興味本意で入っていい場所じゃない。それが分からないキミでもないだろう?」
「僕は大能力者ですよ! ただの中学生じゃないですよ!」
「階級も、中学生も高校生も、大人だって関係ないんだよ。あそこは誰が行ったって危険な場所なんだ。
キミを庇った彼女はあの危険な世界で、超大物として恐れられている人だ。その彼女でさえ危険な目に合うんだ」
「そうやって…何かと理由を付けて、周りは僕の才能を認めようとしない……父さんは僕の努力を認めないし、クラスのやつらは僕の成績を認めない……学力テストで結果を残したって…大能力者になったって…僕の夢でさえも認めてくれないじゃないか!」
そう言い放って鈴也君は部屋を飛び出してしまった。
すぐに追いかけようとしたけど、音羽に止められてしまった。
そう遠くには行かないと思うから、暫く1人にしてあげよう。とそう言われた。
「地雷……踏んじゃったよね……はぁ、中学生相手に説教なんて……」
「祐は間違ってないよ。祐が叱ってなかったら、きっと私が叱ってたよ」
「……鈴也君…心配だよ…やっぱり追いかけた方が……」
「こういう時は暫く1人にしてあげるのが一番なの! 先輩相手に啖呵切っちゃって、きっと落ち込んでるだろうから、気持ちの整理がつくまで、祐は次に鈴也君に掛けてあげられる言葉、探しておいて」