複雑・ファジー小説

Re: 超能力者の落ちこぼれ(500参照突破感謝!) ( No.88 )
日時: 2015/03/29 12:34
名前: ユッケ (ID: GrzIRc85)

それから十数分が経過した。

僕も音羽も喋らない、ベッドで寝ているバジリスクもまだ起きない。

とても静かな時が過ぎていた。

鈴也君はパワーの手掛かりを掴もうとした。認めてもらいたくて……。

パワー…麻薬…薬物…ドラッグ……とても怖い…この死神は、僕から全てを奪っていくんじゃないかと思う。

能力者・無能力者関係なく、パワーは人を呪う。

呪い殺し、また伝染していく……闇に、ヒトに、街に…。

(終わらせたい———!!)

パワーなんて無ければいい!

何でそんなものが存在しているんだ!

何でそんなものを使うんだ!

何でそんなものに関わろうとするんだ!

ならいっそ僕が…!

(終わりにしてやる——————!!!)

パワー…その死神の意味は力・能力・才能・支配・影響

(僕が……やってやる!!!)

無能力者を能力者にする

(パワーを……!)

幻覚、幻聴、被害妄想、強力な依存性

(この死神を…!!)

死神が求める対価は……命

(この死神を、僕がこの手で殺すッ!!!!!!!!!)

座っていた僕は立ち上がり、部屋の外へ出ようと玄関に向かう。

「ま、待って!」

音羽が心配そうな顔で僕の腕を掴んだ。

僕は振り返らなかった。

今、この顔を見られたくなかった。

でも、音羽の心配は声で分かった。

「戻って…くるよね?」

掴まれた左腕が熱くなる。

音羽の気持ちが、伝わってくる。

「鈴也君、心配だからさ、連れ戻しに行くよ。大丈夫、すぐ戻るから」

そう言って僕は部屋を出た。

薄っすらとオレンジに輝く世界は、まるで、今ここが分水嶺だと教えているようだった。

戻れば光、進めば闇……今なら戻れるぞ……夕日が光る。

進まなくても、勝手に夜は来るだろ?

なら進むさ、まずは鈴也君を連れ戻して、出来るだけ手掛かりを掴もう。

そうして進んで行った先に、きっとあの死神がいる…。

(僕がこの手で、死神を殺してやる……!!)