複雑・ファジー小説
- Re: 超能力者の落ちこぼれ(500参照突破感謝!) ( No.91 )
- 日時: 2015/04/01 17:45
- 名前: ユッケ (ID: qfOkHR3y)
30分ほどして、部屋のインターホンが鳴った。
「オラァアア! 早く姉御を返すッス!!」
ドアの向こうから怒声とドアを蹴る音が聞こえる。
「はいはーい、いらっしゃーい」
ドアを開けると、みよりや鈴也君と変わらないくらいの年齢のおチビがガルルルルと威嚇していた。
電話越しにではあるが、だいたい予想通り…。
というより、ドアが凹んでないか心配…もともと鍵は掛けてなかったんだけど、ドアも蹴られ損だよね。
「おおお、お前が姉御をさらった輩ッスか! なんか……女?」
「男だよ! それにさらってないし! いいからホラ、早く部屋に上がって」
「お邪魔しますッス!」
意外に礼儀正しい……?
いや、ドア蹴ってたし、流石は闇の中で生きているだけのことはある……のか?
この子を見るとよく分からなくなる。
「姉御! どうしたッスか! い、生きてるッスよね!」
「安心して、外傷もないし、今は眠ってるだけだよ。それにしても……」
あ、いけない。音羽の悪い病気が出るぞ……おチビちゃん! 逃げてー!
「おチビちゃん可愛いーーー!! ナデナデさせてーーー!!」
「私はチビじゃないッス! いやぁああああ! 何するッスかぁあああ!」
音羽の豹変振りに唖然とする鈴也君の目を僕が手で隠し、僕も後ろを向いて見てないアピール。
「なんですか……あれ?」
「見ちゃダメだ、少年にはまだ早い」
相手は女の子です。見ちゃいけませんよ。
見ればトラウマになるかもしれない!
音羽の豹変振りは、さしずめクリオネの捕食シーンだ。
伸びた触手が全身を撫でまわしている……そんな感じ。
「ぜぇ…ぜぇ…見ないフリしてないで助けるッス!」
「失礼な! ちょっとは見てるよ!」
「見るなッス! この変態!! きゃあっ! そ、そこは! くすぐったいッス!」
ギャーギャーと喧騒の中、もぞっと動く黒い影が…。
「……ん……ここ…は?」
「あ、姉御!」
バジリスクが目を覚ましたのだ。