この世界は不平等である。グラスに注がれた葡萄酒をなめる者がいれば、地べたに溜まった泥水をすする者もいる。柔らかい毛布にくるまる者がおれば、薄っぺらい革一枚をはおう者もいる。この世に生を受けた人間は、生まれ落ちた瞬間、社会の格差に縛られる。金持ちに落ちれば幸なり、奴隷に堕ちれば這い上がることは許されず。たとえそれがどんなに理不尽であろうとも。生きるならば屍をこえろ。平穏を望まば地をなめよ。世界は———残酷である。