複雑・ファジー小説

Re: Dead Days【キャラ募集中】 ( No.29 )
日時: 2015/05/04 22:35
名前: わふもふ (ID: nWEjYf1F)

 そのまた翌日。
 6限目の授業とSTを終え、俺は旧生徒会室に行こうか、それともまっすぐ帰ろうかで迷っていた。
 とはいえ、悩んでいるうちに気付けば下足箱付近まで来ていたため、俺は素直に帰ることにした。
 ——すると。

「おーい晃ーっ!」

 怜奈のヤツが、階段の手すりを滑りながら降りてきた。
 全く、相変わらずフリーダムな動きをするヤツだ。

「どうした?」
「ちょっと手伝って欲しい事があるんだ。美化委員会の仕事なんだけど……」
「委員会か。どんなのだ?」
「力仕事でさ。私じゃ手に負えないようなもの運ぶんだけど、いいかな?」
「あぁ、勿論だ」

 何か前にもこんなことがあったような気がするが、俺はとりあえず怜奈に付き合ってやることにした。
 何だかんだで、やっぱりコイツには感謝してるわけだし。




 ————しかし、事件は起きた。




    ◇  ◇  ◇




「……ん? ねぇ、何か臭わない?」
「におい?」

 人通りの少ない——というか全く無い廊下を歩いていると、突然怜奈が犬のように鼻をクンクンさせ始めた。
 臭う——そう聞いて俺も鼻を利かせてみる。

「あー、確かに」

 何となく、塩素っぽいにおいがする。あのプールみたいな、独特の消毒の臭いだ。

「でしょ? 何か、プールみたいな……あれ?」

 あれ、と言いつつ怜奈が床を見る。

 ——水浸しだ。

 さっきからなんかベチャベチャ音がすると思ったら、床が水浸しになっていたのか。
 一体なんだというのだ。

 ——と、俺はここで妙な違和感を覚えた。

 水分と、このプールみたいな塩素のにおい。俺はこの組み合わせに心当たりがある。
 これは俺の予想だが、思いつくのは——これらは恐らく酸と塩基だ。
 そこから化学反応により、出来上がるものはひとつ。混合性の毒、即ち塩素ガスだ。

 ——これはヤバイ。とてつもなく。最悪というか、ほぼ確実に死ぬ。
 何故なら塩素ガスは猛毒の気体であり、一度吸えばもうひとたまりも無いのだから。

「怜奈、走るぞ!」
「え、ちょ……」

 俺はすぐさま怜奈の腕を掴み、踵を返して猛ダッシュする。
 ——しかし。

「っ!?」
「うあぁ……」

 ——猛然と、この上ない吐き気が俺たちを襲った。

「ぐぇっ」
「かはぁ!」

 胃の中にあるもの、全て吐き出しても吐き気は収まらない。
 悪い予感は的中し、尚且つ時は既に遅かったようだ。


「引っ掛かったね、2人とも。それじゃあお休みなさい————」
『誰だ……?』


 ——誰かいる。だけど誰かは分からない。
 呼吸の出来ない喉を掻き毟りながら、俺の意識は闇へと堕ちていった。

















 ————視界が光に包まれ始めたのは、それから直ぐ後の事だった。

















「——君は黒。だけど、無色に変わったの。無限の可能性を秘めているからね」