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霊話「運命」


　僕は何百年も前に死んでいるから霊についてよく知っている。ある場所に未練によって縛られている霊、生きている誰かを見守る為に自分の意志でこの世に残った霊、ただ目的も無くさまよっている霊、生きている人間が憎くて仕方のない霊………。
　ただ、今目の前にいる霊は僕が会ったことのある霊とは少し違うというか、異例だった。足の無い半透明な身体の彼は確かに死を迎えた人間であるはずなのに、霊気が薄く、むしろ生気すら感じられるのだ。
　僕はちょっとした好奇心で彼に近付いた。

　彼に興味を持った。それだけだ。だが今思うと、これは運命だったのかもしれない。