複雑・ファジー小説

Re: そして蝋燭は消えた。 ( No.5 )
日時: 2015/05/20 16:27
名前: 橘ゆづ ◆tUAriGPQns (ID: FpNTyiBw)

(5)終 きっとそんな夢を見た。

青年視点。


 ばちり。
そんな夢を見た。
とんでもない夢だった。
今でも心臓が大きく音を立てて、息が乱れている。
思わず飛び起きたが、どんな夢だったか反動で忘れてしまった。
その夢を思い出そうと記憶を手繰り寄せたが、覚えている限りとても幸せな夢だった。
家族も優しく、友人とも仲良しで、死んだ人が当たり前のようにそこにいる、そんな幸せな夢。

 なぜ僕は怖がっているのだろうか。
とても幸せな夢だったはずなのに。どうして。


しばらく記憶を探るうち、ぞっとした。




 出てきた家族や友人には顔がなかった。



(終 きっとそんな夢を見た)
end。