複雑・ファジー小説

Re: 禁忌の使い魔 【オリキャラ募集中】 ( No.29 )
日時: 2016/06/26 19:28
名前: 雛 ◆OzhVge3YN6 (ID: v2BiiJyf)
参照: トリップの#間違えてしまいました。

 私の通う学校は国立で、それほど大きくないと聞いていた。
しかし噂は所詮しょせん噂らしい、私が訪れたそこは——巨大な屋敷のような学校だった。
緑青ろくしょうのついた門は縦横に大きく伸びており、その門は大きな壁に繋がっている。
巨大な門を抜けると、真っ白く大きな壁の中には豪邸とも呼べるような大きな建物が、いくつもそびえ建っていた。
「…………」
「ねえ、どうしたの?」
「ひゃあっ!? あ、えっと……」
私が茫然として立ち尽くしていると不意に後ろから声を掛けられた。
慌てて振り返ると、そこには腰まである黒い髪の女の子がいた。
十代中程の、背の小さいその子は私と同じ制服を着ておりこちらを怪訝そうに見ている。
私が何と言おうかと困っていると、彼女は優しげな微笑みを浮かべて再び口を開いた。
「もしかして転校生?」
「えっと……は、はい」
「やっぱりそっかっ。ビックリしたでしょ? ここ噂と違ってかなり大きいの」
転校生かと聞かれ、うつむきながら肯定する。
ああ、またやってしまった。
都会に来てからと言うもの、中々人と目を合わせることができないでいる。
その上、人と話していても中々微笑めないし、無愛想になってしまう。
そんな私に怒った様子もなく女の子は微笑んだまま言葉を紡ぎ、私に手を差し伸べてきた。
「案内してあげるっ。迷子になっちゃったら困るでしょ?」
「あ……うん」
彼女のその言葉を聞き、ようやく差し伸べられた手の意味を理解した。
教師や案内人の居ない、初めて来た大きな敷地で、彼女に会わなければきっと私は迷子になっていただろう。
そんな状況の中、断るはずもなく女の子の手を握った。
細く白い腕から伸びた小さく柔らかな手は、酷く暖かかった。

   *   *   *

 門を抜けた先にある白い石畳の道は、校舎を切り分けるように学校の中央を走っている。
その大きな道を歩きながら辺りを見回し、建物の様子をうかがう。
こういくつも建物があっては、再び誰かに案内してもらわなければいけなくなるだろう。
そう思って女の子の方を見ると、彼女は私の視線に気付き振り返り、まるで分かっているかのように微笑んだ。
女の子の足取りは軽くて、どこか嬉しそう。
「あ、そう言えば名前……」
「あっ、そうだったね。私はシャーロット・ローリアだよっ」
女の子はにっこりと笑って名前を名乗った。
ローリア、どこかで聞いたような名前に感じた。
でも、私はここに来たことはないし、きっと彼女のことも知らない。
心の中のわだかまりを抑え、自分も名前を名乗る。
「私っ、アリシア・エレナーデ」
多分、きっと……上手く笑えたと思う。