複雑・ファジー小説

Re: 禁忌の使い魔 【オリキャラ募集中】 ( No.32 )
日時: 2015/07/20 11:09
名前: 雛 ◆OzhVge3YN6 (ID: pzCc2yto)

「アリシアか……いい名前だねっ。じゃあ……宜しくね、アリシアっ」
「……うんっ」
こちらを向いて微笑んだシャーロットの笑顔は、まるで周りに花が咲いたようで誰よりも綺麗だった。
しばらく歩くとシャーロットは一際大きな建物の前で止まった。
 細い柱が沢山あり所々に龍などが彫られている、いかにも金持ちの豪邸のような建物。
白い石畳の道が切れると同じような石畳の地面が広がっており、奥には階段が幾つか見える。
「ここが私の教室のある校舎なんだけど……アリシアは教室、分かる?」
「えっ? えっと……」
目の前の建物と、周りの建物の軽い説明をしたシャーロットは私の方を向いて問い掛けた。
問われて初めて気づいたが、よく考えれば私は自分のクラスの番号や教室を知らない。
私は今更になって焦り始め、戸惑いながらシャーロットを見ると彼女は微笑み再び口を開いた。
「近くに職員室があるから、今から行こっか」
シャーロットはそういうと黒く長い髪を揺らし、私の手を握って歩き出した。
慌ててそれについていき、彼女の後ろを歩く。
そして数分もせずに、もう一つの建物に着いた。
これまた大きな建物だが、先程の校舎より大きく細かい装飾が施されている。
「ここが職員室だよ」
「へ……? しょ、職員室だけ?」
「うん。資料室とかは別の校舎にあるよ」
シャーロットの言葉に驚き、再び目の前の建物を見回す。
職員室だけでこの大きさって……一体どれだけの先生が居るんだろう……。
私が驚いているのが面白いのか、シャーロットは少し笑いながら建物の中に入った。
彼女を追い中に入ると、予想以上に人が沢山居た。
天井にはいくつかシャンデリアがあり、職員室の壁は本棚になっていて沢山のファイルや資料が収まっていた。
「失礼します。5−Bのシャーロット・ローリアです」
「あら、どうしたの?」
初めてシャーロットの敬語を聞き少し新鮮に感じる。
彼女の声を聞き奥から一人の女性が現れた。
緊張と不安でシャーロットの手を強く握ると、彼女は優しく私の手を握り返してくれた。
「この子転校生なんですけど、教室がわからないらしくて」
「ああ……。あなた名前は?」
「ア、アリシア・エレナーデ……です」
「分かったわ、ちょっと待ってて」
女性に名前を聞かれ緊張しながら答える。
すると女性は柔らかい笑みを浮かべて奥へ戻っていった。
何となく不安が消え、体の中からスッと緊張感が抜けた。

Re: 禁忌の使い魔 【オリキャラ募集中】 ( No.33 )
日時: 2015/08/03 18:50
名前: 雛 ◆OzhVge3YN6 (ID: w4lZuq26)

「じゃあ今から少し説明をするから、ローリアさんは先に戻っていて」
「はい、分かりました」
「…………」
女性は再び戻ってくると、資料を机に置いてこちらに来て言った。
彼女の言葉に少し寂しくなりシャーロットを見つめる。
シャーロットは私の視線に気づくと微笑み手を振った。
何故かそれがとても嬉しくて、私も手を振り返し彼女を見送った。
 女性は説明を終えると資料をしまい、近くに居た長い緑の髪の女性に声を掛ける。
二人は少し話し、さっき私に説明してくれた女性は奥へ歩いていってしまった。
「初めましてアリシアさん。私はヘレン、あなたのクラスの担任です」
「よ、よろしくお願いしますっ」
ヘレン先生は職員室を出て、私を連れて教室に向かう。
彼女の後を追いながら道を記憶していく。
しばらくして教室の前につくとヘレン先生は先に入りショートホームルームを始める。
私はドアの前で先生に呼ばれるのを待つ。
期待と不安が入り混じって、何だか変な気分である。
これからこのクラスで上手くやっていけるだろうか?
色んな人と話して仲良くやっていけるだろうか?
考えれば考えるほど、不安が期待より増していく。
「では、入ってきてください」
「は、はいっ」
ヘレン先生の私を呼ぶ声が聞こえ、緊張しながらドアに手をかける。
ドアは小さく音を立てて開き、足を教室の中に入れる。
教壇まで歩き黒板に白いチョークで名前を書く。
背中からでも分かる、皆が私を見ている。
 緊張は収まらず増していくばかりで、名前を書き終えると皆の方へ向き直る。
ヘレン先生が何か私の紹介をしてくれているようだが、緊張しすぎて何を言っているか頭に入ってこない。
私は固い表情のまま教室内を見回すと、見慣れた女の子が目に入った。
——シャーロットが居る——
それだけで私は嬉しくなり、緊張も解れて不安も軽減していく。
皆に気づかれないようにシャーロットに微笑むと彼女は笑って小さく手を振ってくれた。

Re: 禁忌の使い魔 【オリキャラ募集中】 ( No.34 )
日時: 2015/08/04 03:39
名前: 雛 ◆.sKm1ozo5Q (ID: pzCc2yto)

   *   *   *

 チャイムが鳴ると同時に、教室に緑の髪の女性教師が入ってくる。
途端に今まで騒がしかった教室が静寂に包まれる。
シャーロットは窓の外を眺めながら、さきほど門で出会った赤髪の少女の心配をしていた。
「今日は転校生が来ています。入ってきてください」
「…………」
女性教師——ヘレンは始めに出欠確認をし、終えるとドアの方に顔を向け声をかける。
シャーロットは彼女の言葉を聞き窓から目を離してドアの方を見る。
ドアは軽く音を立てて開き、真新しい制服を着こなした少女が教室の中に入ってきた。
生徒たちの視線が彼女のもとに集まる。
少女のウエーブのかかった赤い髪は胸下まであり、瞳は髪より少し薄い赤色をしている。
シャーロットは彼女を見て驚くと、微笑ほほえみ少女を目で追う。
少女は強く拳を握り、ぎこちない動きで教卓のそばまで歩き黒板に白いチョークで自分の名前を書いていく。
「は、初めまして。今日ここに転校してきました、アリシア・エレナーデ、です」
少女はチョークを置き教壇から降りて生徒たちの方に向き直る。
そして顔を上げ、名前を名乗った。
ヘレンは軽くアリシアについて説明をすると生徒たちに自己紹介をするように促し、生徒たちは順番に自己紹介をし始める。
「えっと、ネリア・ロンギーネです。得意なことは重いものを持ったりすること、です。これからよろしくお願いしますっ」
ネリアと名乗った茶髪の少女は、にっこり微笑み御辞儀をして席に座る。
アリシアも微笑み返し、次の生徒が立ち上がり自己紹介は順調に進んでいった。
しばらくしてシャーロットの順番が来ると彼女は立ち上がり口を開く。
「シャーロット・ローリアです。好きな物は可愛いものと甘いものです。得意なことは剣術と体術、かな……とりあえず、よろしくねっ」
シャーロットは何を言おうかとその場で考えながら言う。
最後に笑みを見せると、手を前に出して親指を上に立てる。
アリシアはそれを見てクスッと笑うと同じように親指を上に立てた。