複雑・ファジー小説

Re: 禁忌の使い魔 【オリキャラ募集中】 ( No.6 )
日時: 2015/08/04 03:17
名前: 雛 ◆iHzSirMTQE (ID: pzCc2yto)

シャーロットはクロを見て唖然あぜんとしていた。
そんな彼女を残し、水は更に降り続ける。
 水の量は徐々に増えていき、辺りに水が溜まり始めていた。
既に中庭を越え、渡り廊下にまで浸食している。
シャーロットは焦り、慌ててクロを止めようとする。
「ま、待って、これ以上は!」
クロはシャーロットの慌てた声を耳にして、すぐに魔法を解く。
しかし、魔法を解いた途端、力尽きて地面に落ちてしまった。
シャーロットはクロが地面に落ちる前に手で受け止め、クロの羽や頭についた水を指で拭う。
「クロっ、大丈夫……?」
シャーロットが心配そうに声を掛けるが、クロは目を閉じたまま弱々しく息をしていた。
シャーロットは立ち上がると急いで家に駆けていく。

 夕日が街を赤く照らす中、シャーロットは急いで家に入った。
息を切らしながら荷物を置き、タオルを出してクロを包む。
電灯はまだつけられておらず、夕日の赤い光だけが部屋を照らしている。
「ごめんね……」
暗い部屋にシャーロットの悲しげな声が聞こえ、やがて消えていった。
 クロの黒い体さえ部屋の暗闇に溶け込みかけている中、クロのまぶたが開き黄色い目が暗闇に姿を現す。
「クロっ……!」
シャーロットはそれを見て安心し、クロを強く胸に抱きしめる。
クロは嬉しそうに擦り寄りながら、彼女の腕から離れて周りを飛び回る。
すっかり元気になったようで、クロは激しく動き回り電灯のスイッチの許まで行き部屋の灯りをつける。
「ん、ありがとうっ。そうだ、クロは何を食べるかな……」
先程まで暗闇に慣れていた目には電灯の光は眩しかったらしく、シャーロットは手で目を覆う。
目が光に慣れてくると、彼女は微笑みキッチンに行き冷蔵庫を漁って適当に食材を出す。
シャーロットは手元にあったソーセージの袋を破り、試しにクロに差し出してみる。
クロはゆっくりキッチンに来ると、シャーロットからソーセージを差し出され大きな口でそれを食べた。
『────』
「あっ! 待ってっ、それはダメっ」
嬉しそうな声で鳴くと周りを飛び回り、クロはまだ袋の破られていないソーセージに食いつく。
そのまま袋ごとたべたが、シャーロットの言葉を聞き袋だけを吐き出した。
シャーロットはそれを見て笑いながら、今のやりとりでクロが魔法使いの言葉を理解する事ができるのだろうと考える。
「私が言葉を理解できてなくちゃ意味ないよね」
彼女は苦笑いして言い、杖を出して呪文を唱え始める。
床に光の魔法陣が浮かび上がり黄色から紫へと色が変化していく。
 突然のことにクロは驚き混乱してシャーロットの周りを忙しなく飛び回る。
しかし、彼女の落ち着いた様子を見て、すぐに大人しくなりシャーロットの前で浮遊する。
「リミッター解除、第二魔法発動。トランスレイト!」
シャーロットが言葉を発した途端、魔法陣の光が増して色が赤へと変わる。
──刹那、目の前で光の粒が大きな音を立ててぜ、魔法陣が消える。
「魔法、成功」