複雑・ファジー小説

Re: 禁忌の使い魔 【オリキャラ募集中】 ( No.9 )
日時: 2015/08/04 03:22
名前: 雛 ◆iHzSirMTQE (ID: pzCc2yto)

『おいそこの魔女。さっさと、さっきのやつ出せ』
「へ……?」
シャーロットしか居ない部屋に、少年の声が響く。
その声は彼女のものにしては低く口調が荒い。
先程シャーロットは、魔法使い以外の言葉を翻訳する魔法をクロに向けて発動した。
なので彼女にはクロの声も聞こえる状態になっている。
今の少年の声はクロの声だとも考えられるが、シャーロットは予想外の荒い口調に唖然あぜんとしてクロを見つめていた。
『おい、お前聞いてんのか?』
「も、もしかしてクロ……なの?」
『ああ』
不機嫌そうな少年の声が聞こえ、シャーロットは半信半疑で問いかける。
少年の声は短い肯定の言葉を返す。
クロの返事にシャーロットは驚き、混乱しながら頭の中を整理する。
「い、いや、でも……可愛いのに」
『あ? 何か文句あるのか?』
「な、何でもないよっ」
慣れない少年の声にシャーロットは少し怯えながら言う。
クロは再びソーセージを出せと命令し、シャーロットはソーセージの袋を開けて食べさせてあげる。
クロは美味しそうにソーセージを食べ続けた。
数十個食べたところで満腹になり食べ終える。
「だ、だいぶ食べたね……」
『旨いな、これ。また買ってこいよ』
「う、うん……わかった」
シャーロットは食べた量を見て驚きながらクロの命令に頷く。
シャーロットはいつの間にか召し使いのようになっているのに気付き、苦笑いしながら大量に出たゴミを片付けリビングに行く。
クロは彼女の後ろをついていき、ソファーに座ったシャーロットの膝へ降りる。
「ねえ、クロはいったい何の種族なの……?」
『……さあな』
シャーロットはクロの頭を撫でながら怪訝けげんそうに尋ねる。
その問いにクロは目をそらしてそう言った。
『……俺には昔の記憶がない。親も居ないし、自分が何の生物なのかも分からない』
「…………」
その黒い体から表情は読み取れないが、クロの声は寂しげだった。
シャーロットはクロを無言で抱き締め優しく頭を撫でる。
そんな彼女に驚き、クロはシャーロットを見つめる。
「ねえ、クロ……私の、使いかぞくにならない?」