複雑・ファジー小説
- Re: 白銀の胡蝶 ( No.8 )
- 日時: 2015/06/28 14:20
- 名前: 煙草 (ID: 7HladORa)
翌朝。即ち至福の土曜日。
買ってやった服に満足した花蓮と別れ、俺は休日を目一杯楽しんでいた。
とはいえ所詮引き篭もりの俺なので、ゲームやったりアニメ見たりと自堕落な生活を繰り広げるだけなのだが。
——ピンポーン。
こんな真昼間に誰だ。
ゲームを一時中止し、俺は玄関へ小走りでかけていく。
「はいはーい」
ガチャっと扉を開けると。
「やあ、天城君」
「——ども、こんにちは」
来客だった。それも宍戸杏奈さんなのでビックリだ。
昨日ブティックで見たのとソックリなチューブトップコーデと、惜しげもなく露出された白い脚を持つ彼女。
一体ここまで何をしにきたのだろうか。というか、何で俺の住所知ってるんだこの人は。
「突然だけど、これからデートでもしないかい? ちょっと暇持て余してるんだよ」
「……え、えぇ。喜んで」
「ふふっ、そうこなきゃね」
——よっしゃああああああああ!!
俺は心の中で叫んでいた。どんな形であれ、生きてて初めて女性と出かける切欠ができたのだ。
喜ばない男子なんていないだろう。うん、いないはずだ。
「準備してくるので、中で待っててください」
「あいよ」
俺は家に宍戸さんを招きいれ、せっせと支度を開始する——
あ、ゲームどうしよう。セーブしてねぇや。
まあいい、今はそんなことより準備しないと。
◇ ◇ ◇
仮にも学校一の人気者と出かけるのだ。
恥ずかしくないよう、服はある程度選定せねばならない。
そうして選んだ服は、ベージュのハーフパンツ、青い上着、白のインナー、キャップ帽……結局いつもと変わらなかった。
俺の服装センスの無さについては一回真面目に考えるべきかもしれない。
「お待たせです」
「おやおや、可愛くなったねぇ坊ちゃん」
「からかわないでくださいよ」
確かに、こんなんだとガキくさいかもだ。
だが、宍戸先輩がそのままでいいと言い張るので、結局このまま出かけることになった。