複雑・ファジー小説

Re: Unlimited brave〜絶望の先に〜 第3話 ( No.4 )
日時: 2015/06/14 17:57
名前: ルナ (ID: oePzZKBu)
参照: http://www.kakiko.info/bbs2a/index.cgi?mode

第3話

「班長、先行かせてもらうぜ!!」

デルタが走り出すと共に剣を異星人に向かって振る。さすがに単調的な攻撃は異星人にいとも容易く避けられてしまった。

「許可取る前からやる気満々だよね〜。ダメっつってもダメだよね〜」
「やっぱりデルタさん、戦闘になると明るくなりますね〜」

すでに呆れ顔のラピスはぼそぼそと呟き、ミズホはもう慣れたとばかりに銃に弾を込める作業をしている。この間にもデルタは一体をもう少しで倒せるぐらいまで弱らせていた。

「よし、ミズホは援護射撃よろしくね!」
「了解です!」

ラピスはデルタのもとへ向かい、他の異星人の相手をする。ナイフを使ったり、回し蹴りを入れたりと着実に異星人の体力を削っていった。また、デルタも一体異星人を倒し終え、もう一体の異星人と合間見えている。

「楽勝だな、こんなもんか」
「ほらほら、油断は禁物だよ」

刀から繰り出される攻撃を避けながら会話をする二人。余裕がかなりあるようで、軽快なステップを踏んでいた。

「援護射撃、行かせてもらいます!二人共、離れてください!!」

ミズホの声があったあと、ミズホは10発ほどの弾を発射する。攻撃に集中している異星人たちはラピスたちの影で見えなかったのか、全く気づかない。ラピスとデルタに弾ガ当たる直前で二人はそれぞれ横に飛び退く。そして二人が避けたことで異星人たちはようやく、自分たちの置かれた状況に気づいたのだ。

「ウワァァァァァ・・・・・・!!」

弾が命中した異星人たちがドサッと倒れる。それを見たミズホは自信満々に話す。

「大丈夫、峰打ちですっ!」
「いやとりあえず峰打ちじゃないっ!少なくとも銃では!!」
「そっちかよ・・・・・・」

ラピスがそう言うと、デルタはそういう問題かとため息をつく。そして異星人の一人をつつき起こしてデルタは聞いた。

「さっき、人間とか言ってたよな?どこにいるんだ?」
「・・・・・・モクヒスル」
「ふうん、そっかぁ。じゃ、こうしてあげてもいいんだよ・・・・・・?」

黙秘すると言った異星人に痺れを切らしたのか、ラピスはナイフを異星人に向かってつき出す。異星人はラピスの気に少し怯え、かなりあっさりと人間のいる場所を吐いた。

「よし、ありがと。じゃ、おやすみぃ!」

ゴンッ!!

異星人の後ろで鈍い音が響いた。そう、ミズホが銃を思いっきり異星人の後頭部にぶつけたのだ。あまりの衝撃に異星人は気絶した。

「ミャォ〜ン♪」
「ほらおいで、猫さん」

猫がミズホの足にすりよってきた。ミズホは表情を和らげ、猫を抱き上げる。

「とにかく、その人に何かあったようじゃ遅いからね。急ぐよ!」

さっき、異星人から聞いた場所に向かって三人(+抱き上げられた一匹)は走り出した。あれだけビビらせたのだから、嘘はついていないだろう。この基地はほとんど無人で、ところどころに異星人がいたがラピスが次々に倒して行った。

そして、教えられた場所に到着した。

「ここ、だよね。警備みたいなやつの数多かったし」
「やけに静かだな・・・・・・」

慎重に入って行く。しかし、中には異星人が全くいなかった。いたのは、倒れている人だけ。ラピスははっとして倒れている人の場所に行き、手首を取った。脈をはかっているのだ。三人の間に重い空気が流れる。しばらくその体勢を取っていたが、ゆっくりと二人の方を向き、——ゆるゆると首をふった。ミズホは片手を口にあて、デルタは悔しさをぶつけるかのように両手で握り拳を作り、太もものあたりに打ち付けた。

「ごめんなさい・・・・・・私たちがもっと早くついていれば・・・・・・」

ラピスが謝罪の言葉を口にする。三人の間に先ほどよりももっと重い空気が流れていた——