複雑・ファジー小説

Re: 蒼穹のゼロ〜天空警察捜査第一課事件記録〜 ( No.2 )
日時: 2015/06/06 18:37
名前: みすず ◆5k4Bd86fvo (ID: 5PvEL/lW)

File.1…自称天使ちゃんはハンドガンをぶっぱなす

校庭のチャイムが鳴り響き、生徒達がぞろぞろと出ていく
東京都内にある、制服が可愛いと噂の進学校。私立天章学園
きーんこーんかーんこーんと小学校から慣れ親しんだチャイムの音が彼の眠りを促進させる
一年A組の教室で、彼、伊邪いざや蒼太は爆睡していた

「おーい、蒼太ー。起きろー、馬鹿ー、成績平凡野郎ー」
「……最後の二つが凄く要らない気がする」
「あっ、起きた」
「あっ、起きたじゃねえよ。希空のあ。つーか、旋毛つつくなぁ、禿げるだろーが」

蒼太は寝ぼけ眼で旋毛をツンツンとつついて何時しかスイッチを連打するように押してくる幼馴染み、希空を見上げる
因みに制服は、大きいピンク色のリボンを付けたYシャツに、星の刺繍がされたクリーム色のカーディガン。ピンクのチェックのスカートという流石に噂されるだけの事はある
発育が乏しい胸も制服でここまでカバーできることに感心する
刹那、希空の平手打ちが蒼太の顔面にクリティカルヒットした

「悪かったわねっ、発育の乏しい胸で ! 」
「え、エスパー ! ? 」
「全部、聞こえてたわ ! ! ! 一回死んでこーい ! 」
「断るっ ! ! ! 」

希空は馬鹿ーと言って回し蹴りをしてくる。その足を軽くいなすと今度は手でポカポカと殴ってくる
昔からやってもう分かっているが、実力は蒼太の方が圧倒的に上で図で表すと苦笑の蒼太を希空が可愛くポカポカと殴ってくるという感じなのだ
その横をクラス一番のゲーマーである垣原がからかってくる

「お似合いだなぁ、お二人さんよぉ」
「ばっ、違うもん ! 」

赤面すると希空はわざとらしく帰りの準備しなきゃーと棒読み口調でロッカーへ逃げていく
垣原はにやにやした顔で頑張れよ、と蒼太の肩に手を置いて言ってくる。が、生憎、鈍感な蒼太に分かる筈もなく、瞬きを少しすると首をかしげながら彼もまた帰りの準備を始めた
何時もならばチャイムが鳴った瞬間に大半の生徒は部活動へ行くため消えていくのだが、ここ一週間は大半の生徒が教室に残っていた
別に部活動を全員サボっているわけでもなく、ある学校内で起きた摩訶不思議な事件の為、部活動中止を余儀なくされていたのだった

「<集団失踪事件>……か」

蒼太は左斜め後ろの席、最初の被害者である眼鏡っ娘の藤堂七奈美の席に目を向ける
どちらかと言うと、控えめで文献部に所属しているため帰りも早い
しかし、それは一週間前、夜に学校に掛かった一本の電話で変わってしまった

『家の娘が、帰ってきていないんですが、御存じないですか ? 』

それは、藤堂の母からの電話。警察にも捜索願いを出したが一向に成果は得られず、二日目
隣のクラスの男子が失踪した
それからというものの、一日に一人。必ず学校帰りに失踪したのだ
特に接点もなく、合計で六人。何の手掛かりも残さず消えていった
しかし、時間帯が何時も部活動終わりの六時頃と判明していたので部活は中止されていた
何の手掛かりも得られず、捜査も進まず、犯人も捕まっていないため今日も誰か失踪するのは目に見えている
しかも、消えたのは全員、天章学園の生徒
このまま犯行が続けば、全員そのうち消えるかもしれない

全員、犯人に喰われてしまうかもしれない________

蒼太はあまりにも恐ろしい考えを追い払うと、教室を後にした