複雑・ファジー小説

Re: 蒼穹のゼロ〜天空警察捜査第一課事件記録〜 ( No.4 )
日時: 2015/06/07 21:59
名前: みすず ◆5k4Bd86fvo (ID: 5PvEL/lW)

ドロップ

帰還おめでとう。まあ…ILIZAの方は結構更新してるからね
大丈夫だよ、私はボカボカだから(>^<)b((
果たしてそのような展開になるのか ! ?

コメントありがとうございました

    *

天章学園から徒歩十五分ぐらいの距離に蒼太と希空の家は建っていた
この辺りは住宅街だが通学帰りの学生で道は賑わっていた
希空と別れた後に蒼太は家の鍵を開ける、両親が共働きの彼の家は料理上手な高校三年の姉、純奈が作るのが何時もの流れ
しかし、家はシンと静まり返っており物音一つしなかった。嫌な考えが頭を過る
冷や汗が頬を滑り落ちる、蒼太は溜まった唾をごくりと飲み込むと足を踏み出した
玄関ホールの直ぐ右がリビング。ドアを開けて電灯をつければそれで終わる
決して妄想癖ではないが、どうしても悪い方へ妄想が展開していく
蒼太は首を振ってもう一回唾を飲み込むとリビングへ繋がるドアを開けた
ドアの隙間から手を伸ばし電灯のスイッチを押す。ぱちりと昭和以来の音が響き渡りリビングを照らした

「誰も、いませんよねー ? いないですよねー ? 」

問い掛けというよりもうほぼ自己暗示のように呟くと、ゆっくりドアを開けて中に入った
リビングを明るく照らしたLED電球は奥のダイニングをぼうっと暗がりの中浮かびあがらせている
歩を進めるとキッチンの横にある六人掛けの食卓に書き置きとペン先が出したままのボールペンがあった
走り書きだが筆跡は姉のものだ。『カラオケ行ってくるから、コンビニ弁当でも食べててね』

「……キレそう。つーか、緊張感無さすぎだろ、コイツ」

走り書きメモをくしゃっと潰すと野球のピッチャーの真似でゴミ箱に向けてダイレクトシュートする
外れて、ころころと転がる紙
それを無視するとスクールバッグの中からスマートフォンと財布を取り出して右の尻ポケットに詰め込む

「…………」

ダイレクトシュート失敗したゴミをゴミ箱に入れ直すと家を後にした

    *

最悪なことに蒼太の家から一番近いコンビニは歩いて五分の大通りにある
取敢えず、手頃なパンとお茶を購入するとレシートを捨ててコンビニを後にする
時刻は5時近く、日は西に傾き始めていた
西に向かって歩いているため直射日光に顔をしかめると歩いていたときだった

「…………………」

ふとした、直感で周囲を見渡す。道には自転車の通学帰りの学生がいるだけだった

「………………きゃあ」

女の悲鳴が聞こえた気がして周囲を見渡す。何もない

Re: 蒼穹のゼロ〜天空警察捜査第一課事件記録〜【オリキャラ募集中】 ( No.5 )
日時: 2015/07/11 22:29
名前: みすず ◆5k4Bd86fvo (ID: 5PvEL/lW)

「きゃぁああぁあああああああああああぁああ」

今度は、確かに耳をつんざくほどの悲鳴が聞こえた
蒼太は改めて周りを見渡す。しかし、やはり悲鳴をあげている者がいないどころか誰も悲鳴が聞こえないかのように普通に歩いていく
その間にも、だんだんと声は近くなっていく。上から降って来るような感覚

「上 ! ! ? 」

彼が慌てて、上を見たときには眩い光を放つ白い光の集合体が落下してきていて、
刹那、意識が暗転した

    ◆

空から落下してきた光は人間の男の頭部にクリティカルヒットしていた
男は激しい振動、脳震盪を起こしたようで、気絶してしまっている
ふよふよ、と光は低空飛行しながら気絶した男の顔を覗きこむ

「大丈夫ですかー ? やっぱり、完全アウトだなー。でも、まさかジュリが見える人間がいるなんて……」

周りでは、イキナリ男が倒れたように見えている野次馬が奇異の目で群がってきていた
光は溜め息をつくと、よっこいしょ、と男の体を持ち上げて大通りを南下していく
当然、野次馬から悲鳴が上がる。何故なら、男がイキナリ浮遊しているように見えているからだ
________変化を解いてもいいのですが、まー、それで下界の警察とか呼ばれたら敵いませんし
光は悲鳴を無視して大通り沿いの自然公園に入っていった

    ◆
    ◆
    ◆

「________大丈夫ですか ? もしもーし」
「うう……」

蒼太はガンガン痛む頭を押さえながら、目を開けた。すると、何故か目の前には金髪ツインテールの幼女、改めロリがいて、こちらを覗きこんでいた
押さえた手の下には濡らされたガーゼが置かれていて、多分この金髪ロリがやってくれたものだと予想は出来る、出来なくもないが

「そうか、こりゃ夢か」
「ゆ、夢じゃないですよー ! 」

彼は「金髪ロリがこっち見て、頬をぷくーって膨らませている ! 頬をつつきたい、あとお持ち帰りしたいよ、デュフフデュフフ」となるような質ではないのだ
だから、彼はこの状況を、夜の公園で金髪ロリ二人きりというシュチュエーションを全否定した
________そもそも、何故こんなところにこんな夜に金髪ロリが屋外にいるかが疑問だ。待てよここを通行人に見られでもしたら

夜の公園、通勤帰りのおばさんがパトロール中の巡査呼び止め、こちらを指差して震える

『巡査さん ! あ、あれ…… ! 』

ざわっとなる公園

『変質者が無垢な幼女を誘拐しようと ! ! ! 』
『直ぐ、連行します ! おい、お前 ! 学校は、家はどこだ ! ? 』
『ち、違うんだ。俺が起きたらイキナリコイツがいただけで、逆だよ逆 ! 』
『濡れ衣を着せるとは、なんて外道 ! ! ! 』

そういうと、巡査は時計と手錠を取りだし、無抵抗の蒼太に迫る。月明かりに照らされ手錠が銀色に鈍く光った
巡査は彼の両手に手錠をはめた

『○時××分、現行犯逮捕 ! 』
『ち、違うんだぁあああぁあああああぁあ』

蒼太はガバッと妄想を終わらせ起き上がる。刹那、さらに凄い激痛が頭部を襲った
それに、金髪ロリは慌てる

「わ、ダメですよ ! 脳震盪、起こしてるんですから ! 病院も受診してませんし、安静にしなきゃ」
「ん ? 何で、脳震盪って分かるんだよ。つーか、そもそもお前誰 ? 病院なら救急車を呼べばいいじゃねえか」
「あ、いや、そのー」

金髪ロリは答えにくいのか指をツンツンと合わせもじもじとした

「と、と言いますが、そもそも貴方がジュリを感知できること事態……可笑しいんですよ ? 」
「は、感知 ? 何言ってるのお前」

ますます、疑問が増える。それに金髪ロリはさらに慌てる
はぁーっ、と意を決したのか金髪ロリはこちらを真っ直ぐに見つめてきた。思わずたじろく

「まず、私はジュリア・ハナエル。病院に行けない理由は普通、下界の人間にジュリが見えないから。脳震盪だと分かった理由はこれ」

そういうと、金髪ロリ、ジュリアは手持ちのトートバックから鏡を取り出した

「この鏡は<真実鏡>。まあ、下界でいう童話のシンデレラで出てくる鏡のコンパクト版とでも思ってくれればいいです。これに聞けば何でも答えてくれるので貴方の病状を尋ねて、脳震盪だと判明しました。これで分かっていただけましたか ? 」
「いや、全然」

それに、ジュリアは分かりやすいぐらいずっこけた。反応が面白い
あと、自分をあだ名で呼ぶのが凄く萌える
まず、下界とは何なのか。たまに宗教とかで人間の住まう世界を下界と呼ぶとかと聞いたことはあるが。それに、<真実鏡>とは何だ。どう見ても普通のコンパクトサイズの鏡だ
そもそも、普通の人間にコイツが見えないとはどういう意味なのか
蒼太がうんうん唸っても分からない。ジュリアはそれを見て閉じていた口を開く

「貴方はジュリが人間だと思っているでしょう ? 」
「そりゃそーだろ」
「その前提から間違いです。ジュリは人間ではありません」

ジュリアは腰に手を当てて胸を張る、月明かりの中に浮かび上がるように立ったジュリアは妙に威厳が感じられた。全身が発光するような錯覚をもつ

「ジュリは天使。『神の栄光』を意味する大天使ハナエルの子孫です」