複雑・ファジー小説

Re: 蒼穹のゼロ〜天空警察捜査第一課事件記録〜【オリキャラ募集中】 ( No.6 )
日時: 2015/06/10 21:59
名前: みすず ◆5k4Bd86fvo (ID: 5PvEL/lW)

「天使……」

何時もだったら「わー、コイツ厨二病 ? 嘘だろー」と言ったりしてからかうが今回はしなかった。否、やれなかった。妙な説得力も感じたし、ジュリアは自分とは別の生命体に錯覚してしまう
それなら、天使が空から光となって降ってきても納得がいく

「天使なら、何でお前ここにいんの ? 」
「あっ、それは……ちょっとここでは言えませんね」

ジュリアは苦笑いしながら周りをキョロキョロと見渡す。蒼太も見渡すが特に何もない。が、次の瞬間、背中を悪寒が走った。何か悪いものがいる、そう錯覚させられた
悪寒から逃れるように無理矢理、彼は話題を変える

「じゃあ、どこで眠るんだよ。つーか、飯は ? 」
「ご飯は、携帯食料がありますから。寝床は、まあ適当にベンチで寝ますよ」
「それ、捕まるだろ」

彼は、自分の腕時計を見る。時刻は午後7時30分、何時もなら風呂に入ってテレビを見ている時間だ。恐らく、カラオケがオールでもない限り姉も帰ってきている頃だろう
ジュリアの外見は完璧にロリ体型だ。屋外でなんて寝たらそれこそロリコンにお持ち帰りされるに決まっている
彼は、うーむと唸り迷っていろいろ考えた結果ジュリアの手を引いて公園の出口へ歩き始めた

「あっ、ちょ、何処行くんですかー ? 」
「俺の家だよ。お前、外で寝たら絶対お持ち帰りされるぞ。だから、泊めてやるよ」
「ありがとうございます ! ……あの、お持ち帰りって何ですか ? 」
「お前は知らなくていいことだよ。勘違いすんなよ、一日だけだかんな」
「はい ! 」

    *

蒼太の自宅の二階にある彼の部屋は鍵つきで、鍵をガチャリとかけると蒼太はジュリアに冷蔵庫から盗んできた餡パンを渡していた

「あっ、わざわざ、ありがとうございます」
「別に、賞味期限間近だったしよ。つーか、その敬語やめろよ。キャラに合ってないし」
「……ありがとう」

ジュリアは敬語に慣れてないのか少し頬を赤らめて恥ずかしそうにして餡パンにかぶりつく。その行動一つ一つが萌える。こりゃ、絶対お持ち帰りされてたよなと染々彼は思った
蒼太は勉強机の椅子に腰を下ろすと、ジュリアの萌え行動を見ながら話を振った

「ジュリア。お前、本当に俺以外の人に目視されないんだな」
「いやいや、その存在感うすっみたいな眼は辞めてもらえない ? 目視されないのが普通なん……だよ。まあ、それは制御できるので目視させようと思えば出来ま…るよ」
「ふーん」

ジュリアはもう一口餡パンにかぶりついた

Re: 蒼穹のゼロ〜天空警察捜査第一課事件記録〜【オリキャラ募集中】 ( No.7 )
日時: 2015/06/11 21:59
名前: みすず ◆5k4Bd86fvo (ID: 5PvEL/lW)


    ◆

 夜十二時。辺りはひんやりとした空気に包まれていた。無事に予習復習を終えた蒼太は大きく伸びをすると直ぐ後ろの床に敷かれた布団を見る
 ジュリアの形に膨らんだ布団は彼女の体をすっぽりと覆い隠している。眩しくならないようにと勉強机の電灯しか点けなかったのだが十分眩しかったらしい。布団からは規則正しい呼吸が聞こえてくる
 蒼太はそれで改めて本当に天使と出会ったことを自覚した。頭の上に定番の天使の輪がないのは可笑しく思ったが、理由は時期に分かるだろう。不思議と胸の中にワクワク感が湧き出てくる
 彼はそんな気持ちのまま電灯を消すと真っ暗ながらも月光を頼りに自分のベットに潜り込んだ。スマートフォンを枕元に置いて毛布を被ろうとした
 刹那、枕元のスマートフォンが震える。相手は隣の希空の家だった
 蒼太は眠い中の電話に若干苛立ちを覚えながら通話ボタンを押す

「もしもし ? 」
『あっ、もしもし。蒼太くん ? 』
「希空んとこのおばさん。どうしたんですか、こんな夜更けに」
『ねえ ? 希空は一緒じゃない ? 』
「え ? いや、一緒じゃないっすけど」
『嘘つかないでね。蒼太くんとなら夜更けまで一緒にいても怒らないから』
「いや、本当に。________どうしたんですか ? 」

 その時、電話先で希空の母が泣いていると分かった。時折、鼻を啜る音が聞こえる。蒼太は悪い予感がした
 しかも、そういう予感はこういうときに限って当たるのだった

『希空ね、六時頃にコンビニに行ったきり帰ってこないのよ。ここで近いコンビニって大通りのコンビニじゃない ? その他もいろいろと探したのに、いないのよ』
「…………」
『警察にはまだ、電話してないけれど。蒼太くんも何か分かったら教えてね』
「……はい。では」

 何時かは、来るかもしれないと分かっていた。犯人の餌食になる可能性があると分かっていた
 しかし、実際に起こってしまうと頭が真っ白で暫く呆然としてしまった
 はっ、と正気に戻ると部屋の明かりをつけてジュリアを無我夢中に叩き起こす。ジュリアは寝ぼけ気味だったが事情を話すと真剣な面持ちで耳を傾けてくれた
 話を終えると、ジュリアは手持ちのトートバックから白い紙を取り出した
 四つ折りにされたその紙を開くと、とても凶悪な人相で色黒で牙と一本の角を持った男が描かれていた。その外見は形容するならまるで鬼だ

「コイツに見覚えはありますか ? 」
「無い、な」
「コイツは喰人鬼グール族のシヴァ・アルマイル。今回、蒼太さんの学校で勃発している集団失踪事件の犯人です」