複雑・ファジー小説

Re: 蒼穹のゼロ〜天空警察捜査第一課事件記録〜【オリキャラ募集中】 ( No.8 )
日時: 2015/06/12 21:55
名前: みすず ◆5k4Bd86fvo (ID: 5PvEL/lW)

「喰人鬼って……おい、まさか、人喰うのか ? そいつ」

 嘘だろ、と冗談半分に蒼太は言う。しかし、ジュリアは本当に頷いた
 喰人鬼グール族、その名の通り人を喰らう鬼族の親類。起因は閻魔が作ったとか、増えすぎた人間を減らすためなんて諸説あるらしい。しかし、食事は天界の法律105条により禁止されているため、喰人鬼族は徐々に数を減らしつつある。と説明を受けた
 しかし、とロリとは思えない真剣な面持ちでジュリアは口を開く

「確かに、法律では禁止されていますが、密猟などで裏社会で高値で売買されるケースが増えつつあります。今回の容疑者シヴァ・アルマイルは喰人の罪でこれまで三回起訴された常習犯です、禁固3000年の刑を受けていた筈なのですが、先日、独房から脱獄しています」
「つ、つまり、希空や他の被害者はもう……」
「可能性はなくはないです」

 蒼太はそんな、と俯き肩を震わせた。ジュリアは喰人鬼の写真がプリントされた紙を仕舞うと、ですが、と話を再開させる

「ですが、可能性はなくはないと言いました。しかし、何時もならば百人以上の被害が出ていますが今回はその希空さんも含め、まだ七人。シヴァはまだ近辺に潜伏している可能性があります。ので、朝から捜査を開始________」
「ふざけんなっ ! ! ! ! それじゃ……それじゃ間に合わねぇかもしれないじゃないか ! ! ! 」

 彼は無我夢中でジュリアの胸ぐらを掴み、捲し立てた。話している途中には涙が溢れでてきて視界を歪ませる
 ジュリアは胸ぐらを掴まれたままの体制で黙っていた
 捲し立てるのに疲れた蒼太はジュリアの胸ぐらを掴んだまま無言で泣いた
 沈黙が部屋を包む

「…………いいでしょう」

 ジュリアは蒼太の手を除けるとシワを伸ばして蒼太を真っ向から見つめた
 
「捜査を急がせます。でも、勘違いしないでください。始めるのは少し寝て準備を整えてからです」
「あ、あり……がと。あとちょっと、いいか ? 」
「何ですか ? 」
 
 蒼太は顔の涙を拭うとジュリアに聞いた。捜査とは何か、何故そんな情報を持ち合わせているのか、そして

「お前、何なんだ ? 」
「あれ ? 言ってませんでしたっけ」

 こくっと頷くとジュリアはポケットから比喩するならまるで警察手帳のようなものを取り出した。そこには今彼女が着ているYシャツの証明写真と身分証明だった
 『天空警察 捜査第一課 巡査部長 ジュリア・ハナエル』と記されていた

Re: 蒼穹のゼロ〜天空警察捜査第一課事件記録〜【オリキャラ募集中】 ( No.9 )
日時: 2015/07/11 22:34
名前: みすず ◆5k4Bd86fvo (ID: 5PvEL/lW)

 説明によると、天界は天国、地獄、魔界、黄泉の国と呼ばれるパラレルワールドが存在する
 そこでは下界と同じように犯罪が起こるため警察という組織は存在するらしい
 そう言われれば、ジュリアの格好はYシャツに青いネクタイ、黒のスカートという格好、就職していると言われても納得できる格好ではあるが
 蒼太は半眼でジュリアに聞いた

「子供が就職できんのかよ。変わってんな、おい」
「違います ! ジュリはこう見えても360歳は生きてますから ! 」
「よし、今なら嘘をついても許してやる」
「……怒りますよ ? 」

 此方を睨んでくるが全くと言っていいほど痛くも痒くもない。蒼太はにやにや笑いながら口を開く

「別に、全然怖くねーし」
「……ははっ、あははっ。へえー」

 ジュリアはこちらを睨みながら口に含み笑いを浮かべる。流石に怒らせたかと蒼太が反省の色を浮かべたのも束の間
 彼女は腰のベルトに付けられたケースから銃を取り出すと、眼を見開く蒼太に容赦無く銃口を向けてきた。銃口の縁がギラリと光る
 蒼太が両手を挙げて白旗を立てたがそれでも止まらずに彼女は引き金を

「『黙れ』! 」

 引いた
 彼の体の中に何かが侵入してきたのを感じた。自分の意思とは関係なく口をガッチリと閉じて黙り混んでしまう。いくら、口を開こうとしても開くことはない、体が自分の言うことを聞かなくなってしまっていた
 ジュリアは彼の言動に満足したのが銃を仕舞う

「今のはジュリの能力『言霊射主エコー・オブ・ガンナー』です。あっ、因みに能力っていうのは天界の人なら誰でも持ってる力で種類では魔法や妖術がありますね。警察って言いましても下界みたいにチマチマやりません。大体、能力戦に発展します」
「…………」
「因みに天界の人の年齢は20歳で人間の言う1歳です。つまりジュリは人間で言う18歳。あはっ、蒼太さんより2歳も年上ですね」
「…………」

 蒼太をこめかみをピクッと痙攣させる。口が使えない今、口以外で感情表現をするしかない
 ジュリアは彼の様を笑うとぱちんっと指を鳴らす。刹那、彼の口が開く

「お前の能力ってチートだろ。『死ね』って言ったら殺せんのか」
「いえいえ、ジュリはAP(ability point)が足りないのでまだそこまでは出来ません」
「何だ、つまんねーの」
「何ですかその陰謀を秘めた言い方は。言っときますけどジュリはやりませんから」

 ちぇっと分かりやすく蒼太は舌打ちする。それを完璧に無視して、さてと、とジュリアはベットの上に置かれた電波時計を見た
 時刻は12時15分を回っていた

「そろそろ、寝ますか。出掛けるのは4時くらいにしましょう」

 ジュリアはふわーと大きく口を開けて欠伸をする、蒼太も釣られて欠伸をした。欠伸が移るのは本当だったのかと蒼太は感心してしまう
 布団にモゾモゾと潜るジュリアを蒼太はツンツンとつついて止めた
 何ですか、とどうやら敬語キャラを突き通すらしい、彼も何処か受け入れているから致仕方無いだろう
 眠いのか半眼で見てくる彼女に、蒼太はやっぱりなんでもないとはぐらかしてベットに体を横たわらせた
 部屋の電気を消すと暗闇に包まれる、支局当然のことだ。蒼太はすがるように布団を掴むと眼を閉じる
 心配事をしている筈なのに、睡魔には勝てず彼の意識は泥に溶けるように消えた