複雑・ファジー小説

Re: イノチノツバサ 【オリキャラ募集中】 ( No.14 )
日時: 2015/09/03 00:10
名前: えみりあ (ID: TeOl6ZPi)

第三章

 地下帝都 四兵団本部

「くそっ!!」

 九条は壁をたたいた。その振動は、廊下に大きく響いた。かなりご立腹のようである。

 というのも昨日、命令違反をして出ていった柊と翼沙が戻ってきたのだが、白虎団の兵士をしっかりと連れ帰ってきたために怒るに怒れなかったのだ。

「おいおい。いつになく荒れてるな……」

 周りのものに当たり散らしていると、後ろからあきれたような声を浴びせられた。

「颯天(そうま)様……」

「その呼び方、やめろって言ってるだろ?」

 九条が振り返るとそこにいたのは、二十歳前後と思われる青年。髪は青色を帯びていて、少し長い前髪を掻きあげピンでとめている。快活そうな印象のうかがる顔だが、九条の態度が気に入らなかったのか、頬を膨らませている。

「では、颯天さん。見苦しいところをお見せして、申し訳ありません。何か御用でしたか?」

「相変わらず、堅苦しいな……まあ、いいや。今日はお前の班に依頼があってきたんだ。ちょっと面貸してくれや」

 颯天という名の青年は、そう言って手元の書類をパンとはじいた。九条はというと、目を丸くしてそんな彼を見つめている。

「そんな……参謀局からの依頼ですか?まだ彼らには早いと思われますが……」

 参謀局……四兵団の中でも、特に立派な功績を上げた兵士らが配属される、作戦の立案などを行う機関だ。四兵団の要である。参謀局は時折、こうして一般兵に特別任務を課すこともある。

「隠したって無駄だぜ?何でもお前の班には、期待のルーキーが二人もいるって話だからな」

 颯天は、ニッと笑って見せる。九条は昨日の命令違反者二人を思い出し、嘆息をつく。

「……ただ運がいいから手柄を得ただけの者らです」

「何はともあれ、俺のハンコも押されているし、この任務はやってもらう。心配すんなって。俺もついて行くから」

———だから不安なんだ。

 もちろんそんな本心を口に出すことは無く、九条は仕方なくその依頼を聞き入れることにしたようだ。颯天はというと

「楽しみだな〜」

 お気楽そうに笑っているだけだった。