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複雑・ファジー小説
- Re: 這竜は白銀と浪に踊る。 ( No.1 )
- 日時: 2015/08/02 21:21
- 名前: 睡魔 (ID: EEo9oavq)
儚い人生だった。
優秀でも無く劣等でも無く、ただ平凡に、平和に、目立たず生きて。
捉えどころのないベターな人生。
それでも、悪くはなかった。
ふと、テレビで、命の価値は長さじゃないとか言ってた哲学者を思い出す。
そうなのだろうか?
もし、そうだとしても…………
少なくとも俺は、もっと長く生きたかった。
薄くなっていく意識の中で、暗く冷たい死の床に一筋の光が射し込むのが、ぼんやりと見えた。
天国とやらへの道だろうか。
地獄行きにはならないようだ。
淡く、白い光は徐々に俺に近付く。
これが<死>だとしたら、案外悪くないないのかもしれない。
意識はさらに薄れていくどころか、ぼんやりと見えていた光ははっきりと、明確に見えるようになった。
死んだはずの肉体には違和感こそ感じるものの生きていた時の感覚が、温もりが、確かに戻ってくる。
あれ、俺死んでるんだよな?
光が俺を包み込んだ時。
「グァガゥギャオォォォ!!!」
〝激しい咆哮と共に、俺は再び目を覚ました。〟
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