複雑・ファジー小説

Re: 神竜は白銀と浪に踊る。【キャラ募集中!】 ( No.19 )
日時: 2015/07/20 21:41
名前: 睡魔 (ID: EEo9oavq)

 ゴーレムは案内を済ませると何処かへ行ってしまい、俺とミレーヌはぐるぐると渦を巻いている穴の中に吸い込まれるように入った。

 するとどうだろうか。
 何と、穴の下には、床も壁も天井も、重力を無視して砂で囲まれた空間が広がっていた。

 「感銘を受けるな。サンドワームはどのようにしてこんな空間を作ったのだろうか」
 ミレーヌも目を輝かせて辺りを見回す。

 サンドワームは相当自分の巣の内装に凝っていたらしく、広い空間は細かく部屋分けをされていた。
 廊下、リビング、寝室、倉庫……いや、宝物庫と呼んだほうが妥当か。
 サンドワームが趣味か何かで集めていたのか、金銀財宝が山のように積み重なった部屋まであった。

 「す、凄い…………魔剣や呪符、古代の魔導書まで収納されているではないか!」
 ミレーヌは宝物庫を見た途端、より一層目を輝かせて声を上げた。
 子供のように無邪気に興奮するミレーヌは、見ていて微笑ましくなる。
 「この財宝はどうするのだ、ツーチ?」
 「ちゃんと巣が整ったら、くれてやるよ。俺持ってても意味無いし」
 「本当か!」
 彼女になら、あげても損は無いと思えた。


 巣を整えるとはいえ、サンドワームさんのお陰で元から状態が良い為に、やる事は部屋の掃除くらいしかなかった。

 「ふぅ…………疲れたな」
 しかし、俺にとっては丁度良くても、ミレーヌにとってはこの空間は物凄く広い。
 掃除を終えると、ミレーヌは革製の水筒に入った水を空っぽになるまで飲み干し、床に座り込んでしまった。

 「ミレーヌ、後は俺がやるからいいぞ。もう十分手伝って貰ったし、戦利品の爪と宝物庫の宝を好きなだけ持って帰れ」
 俺のドラゴンの身体はどんな環境にも適応出来るが、ミレーヌは人間だ。
 これだけ砂漠で動いたら暑さで体力的に限界だろう。

 「いや、大丈夫だ。続けよう」
 だが、ミレーヌは平気だと言うとまた立ち上がり、作業を進めた。
 変なところでプライドが高いが、頼もしい女である。

 本当に限界そうになったら、その時何とかしよう。