複雑・ファジー小説

Re: 神竜は白銀と浪に踊る。【永久的にキャラ募集(笑)】 ( No.22 )
日時: 2015/07/23 12:29
名前: 睡魔 (ID: EEo9oavq)

 ミレーヌは這竜と別れ、這竜の爪と宝物庫の武具を背負ってギルドに向かって歩いていたころには、すっかり薄暗い黄昏時になっていた。

 考えてみれば、ドラゴンの巣作りを手伝うなんて、とんでもないことをしたものだ。

 そう思いながらも、顔に笑みが浮かんでしまう。

 またいつか、もう一度会おう。そう思った。


 「ミレーヌだ! 帰ってきたよ!」

 ギルドのドアを開けると、皆がミレーヌの帰還に顔をほころばせた。

 「お前、遅いから心配してたんだぞ!」

 「ドラゴンに喰われちまったかと思ったぜ」

 「てか、それドラゴンの爪!? あんたドラゴンを倒したの!」

 ミレーヌは何と答えるか悩んだ。
 元々、這竜からドラゴンを倒した証拠として貰った品である。

 しかし、自分が倒したと言うのは卑怯ではないかと思った。


 「倒していない」

 素直に、ことの成り行きを話した。

 爪は這竜から貰った品であること、這竜の巣作りを手伝ったこと、這竜は悪い奴では無いということ。

 しかし、どれだけ言ってもギルドの皆は理解してくれず、説明に疲れたミレーヌはギルドを出た。


 しばらく歩くと、ギルドから誰かが飛び出てきて、ミレーヌに駆け寄った。

 ギルドで一二を争うミレーヌのライバルである男、イゼルだ。
 相変わらず、不潔そうなボサボサした茶髪である。

 「イゼル、どうした」
 ミレーヌとイゼルは犬猿の仲であり、口を聞くことなんて殆ど無かった。
 「おりゃあ、お前の話信じるぜ」

 この男は、人の話を理解できるような奴だったろうか。
 いや、人の話をまるで聞かず、いつも悪巧みを考えているクズだった筈だ。

 「お前、イゼルか?」

 「ん? 俺は勿論ナイアル…………じゃなくてイゼルだよ」



 イゼルの言動に少し引っ掛かったが、全部明日考えよう。
 
 ミレーヌは家に着くとばったりと倒れ込み、そのまま深い眠りに落ちた。




 次の日、這竜の爪が消えた。