複雑・ファジー小説
- Re: 神竜は白銀と浪に踊る。【キャラ募集中!】 ( No.7 )
- 日時: 2015/07/20 14:52
- 名前: 睡魔 (ID: EEo9oavq)
「おおっ! 凄い、凄いぞ這竜! お前はこんなにも速いスピードで地を這うことが出来るのか!」
女剣士は俺の頭の鱗にしがみつき、子供のようにはしゃいだ。
何も無い砂漠の中、俺はにょろにょろと地を這いずり回る。
脚は無いが、這う速さなら少なくともそこらの蛇よりも自信はある。
「しかし、また何でわざわざ巣を作るのだ? この砂漠全てが這竜のものでいいではないか。他に魔物はいやしないんだから、縄張り争いになることなんてあるまい」
そう、俺は今、巣を作る場所を探している。彼女に頼んだのは巣作りの手伝いだ。
「あまりに広過ぎても手に余るだろ? 明確に枠取りされた空間が無いと、落ち着かないというか」
確かに彼女の言う通り、巣なんて無くても困ることはない。
だが、俺は家と呼び、帰れる場所が欲しいのだ。
どうもこの砂漠を“家"と呼ぶには広過ぎる。呼ぶとするなら“土地"だ。
せっかく広大な土地を持っていても、家が無ければ仕方が無い。
引き籠もりとまではいかないが、前世でもインドア派だったしな。
「そういえば、名前聞いてなかったな」
自分の家に最適な場所を求めて砂漠を這いながら、女剣士に問う。
「私か? ミレーヌだ…………お前は?」
はて、自分で聞いておいて困ってしまった。
俺は生まれた時、そばに親がいたわけでもなく、友や仲間もいたわけではなく、名付けられることも名乗る必要も無かった。
俺を倒しに来る冒険者たちも勝手に這竜と呼んでいたし、名前を聞かれても答えようが無い。
這竜という呼び名も、飛べないことに対して皮肉を込められている気がしてあまり気に入ってはいないし、今決めてしまおうか。
最も、今後自分の名を名乗る場面があるかはわからないが、どうせなら、聞いてすぐにどんな姿か想像出来て、尚且つ響きのいい名前がいい。
「俺は……」
大蛇の如く砂漠を這う竜の姿を人が見たら、どう思うだろうか?
考えれば、自分の名前なんてすぐに思い付いた。
「ツーチ・ノッコォーだ」
我ながらいいセンス。