複雑・ファジー小説
- Re: 俺と異世界の奴ら【オリキャラ募集中!】 ( No.12 )
- 日時: 2017/02/09 18:08
- 名前: ランゴスタ (ID: w32H.V4h)
第二話【秀吉は猿だってはっきり分かんだね】
貞子があのクローゼットから出てきてから数ヶ月が立つ。
貞子は此処に来て、初めての事ばかりで小鹿の様に震えた印象があった。あの時は相当な苦労を持たされたものだ。
俺が買い物にいけば「貞子も一緒に行きます」と言って、そのまま連れてけば変な目線が送られた挙句、
「何あの子。チョーカワじゃん」
「カップルかな?。にしてもクオリティの差が激しいカップルね」「あの子の服装、ちょっと変わってるわ。まさか、そういうプレイ?」
「リア充爆!www。にしても彼女があの貞子服装(コスプレ)させた癖に、自分だけ拙者等の様な地味Tとはこれはいかにwww」
等の陰口が激しかった。平日の割には人集りがあるのは解っていたが、まさかあんなに注目の的には思わないだろう。思わないと言え、思わない事でしか考えられん地味Tとか言うなし。
その後、貞子が目立つ事がないのか、顔を真っ赤にして「早く帰ろう」と言わんばかりに俺の背中を肩たたきする様に両手に拳を作り、何気に力入れながら叩かれた。地味に痛かったなぁ。
それから、俺が買い物に行こうとしても、アイツから来る事は無くなった。
だが数日経てば貞子は自分から一人で外に出る様になった。直接聞けば、
「この世界の事を知りたい」
と言っていた。恐怖よりめ先に好奇心が勝っていて、何でも知りたいお年頃なのかなとつくづく思うが、外見から見ればほぼ俺と同い歳だと思う。
しかし、好奇心よりも恐怖の方が普通なのだが、アイツにとってはそこが強みなのかもしれない。
まぁ、俺としては良い機会だし。慣れてくれれば、後が楽になる。
問題は、あのクローゼットだ。
本当はあそこに何着もの服が掛けられていたのだが、それごとあの黒い現象が飲み込んだのだろう。
でなきゃ、今の自体服になんて困らない。今の俺の服着は計3着、独り身とはいえ枯渇しすぎている。更に貞子の服も揃えなければならないので、福沢諭吉が何枚羽が生え、飛び立つのかが目に見える。
抑、あんな所にブラックホールが出てくる事に今尚、驚きが隠せないのだ。いや、こうして普通に買い物しているのだが。
あれには色々と調べなければならない所も多々あるだろう。
だが、調べるといっても、その調べる手段が皆目検討が付かない。
この数ヶ月で色々と試してみた事もある。
1、図書館で調べる。
化学物質や現象等、様々な理系本を見たが、大卒でも文系専門の俺は初めて日本語とはと疑問を持った。だが、それに当たる確証は掴めず失敗。
2、ネットをサーフィンする。
豆知識や、Q&Aなどで質問などをしたのだが、
「お前は何を言っているんだ?」
「洋映画の見過ぎだ」
「多分宇宙に行けばその現象の謎が見つかりますよ。え?、スター○ォーズの話ですよね?」
「FORTHの加護を」
等、信用など掴める事もなし。写真に載せれば載せたで「コラ画乙w」で話が終わる。
その他にも探してみたものの、あの現象に関する情報は無く、失敗。
3、解体する。
先ず、これを解体すれば分かるのではと思ったのだが。チキンで臆病な俺は、これを解体すれば何か恐ろしい事が起きるかもしれないし、そもそもクローゼットを解体する技術は持ってない。業者に頼むか?、こんなの見せられたら警察沙汰も有り得る。却下だ。
4、突っ込む
死ぬ、却下。
その他の手段を考えたが、情報ははっきり言って、無い。
寧ろ、独り身だった俺が何故この様な事をしているのか。
人生には、起きる事も自分の予想を遥かに超えると母親からお告げをされたが、改めてその言葉の意味を理解した様な気がした。
色々な事が起き、独り身だった俺の元に現れた貞子。
アイツも今の状況に不安を抱いているのかもと、勝手ながら思う。
「……………ん?。あっ!、もうこんな時間か!。早くしねぇと的場さんが来ちまう!」
色々考えこんでいると、俺の腕時計はもう6時を回ろうとしていた。内職物の輸送を主にするアシスタントの的場さん。あの人は俺の家は愚か、誰の家でも勝手に上がり込む癖が凄い人。
そんな的場さんが俺より先にくれば、貞子の事を知られ、最悪、事案になる可能性がある。
だってあの人いつも事があればSNSに載せる癖が凄い。
………俺の周り癖が凄い人が多いな。
とにかく、早めにいかないといけない。幸い、今の距離から走ればすぐに着くはずだ。
俺は重い買い物袋を両手で持ち、ラグビー選手並の速さ……はでないが、颯爽と走ったのだ。
だが、そんな俺の予想を遥かに超える惨事が起きていた事にその時の俺が知る由もなかった。