複雑・ファジー小説

Re: 俺と異世界の奴ら【オリキャラ募集中!】 ( No.6 )
日時: 2015/07/20 14:01
名前: ランゴスタ (ID: pyHrCXZU)

第一話【貞子はクローゼットから出てくる】

「……………」

静まり返るリビング、其処に誰かがいる気配は存在しない。
俺は自分の部屋に篭っていた。動きたくないと言う事を前提に今日もノートパソコンを立ち上げ、内職をする。
一応は働いている引き篭もりだが、今ではサイトのデザイナーとして、ネットに絵を飾る仕事をしていた。
地味な仕事ではあるが、案外金にはなるので仕事が出来た時の快感はそれなりにある。

「…………あっ、広告………俺のデザイン載せてる」

俺こと滝壺空悟は、今日も家からは出ない。



_________________。



「……………終わったぁぁ!!。遂にサイトデザインの総仕上げが終わり、第二四次大戦の聖戦が幕を閉じ…………俺何言ってんだろ」
頭が働かないのは早起きの副作用である。その為に、俺はキッチンの近くにある引き出しに頭痛薬を飲もうと、ノートパソコンの画面をシャットダウンさせ、おぼつかない足取りで、部屋に出た。
朝の日課と言えば、何もしないのが普通の現状。
楽しい出来事など、造作に作ったUFOの動画がテレビに出た事を一気に叩くとか、掲示版ではアンチの様な事をしている。
正直、最低の人間だ。

「……………6時40分…………早く起きすぎたか。……今日もやる事無いなぁ……」
リビングにある正方形のガラステーブルに置いてある時計を見ると、死んだ魚のような目が、抜け目になる。
とうとう俺もニートに一歩近くに来てしまっているのか、何て思いそうな顔面しながらソファに寝込む。
そんな筈は無いのだ、俺は無職とは違って働き盛りの社員の様なもの。
家に居ようが居まいが仕事をしている内としては履いている。
ニートは決してならないと決めている。


________ガタッ

「……………んっ?」
俺の自問自答を遮るかの様に、確かに大きな物音が聞こえた。
その音を辿ろうと、耳を澄ました。

____ガタッ

「…………俺の部屋か」
俺は自分の部屋から聞こえる音だと察知して、そのまま自分の部屋に向かい、扉前に来る。そして、その扉のドアノブをしっかりと握り締めた。

「…………………?」


_______だが、そのドアノブを捻ろうとはしなかった。
何故か緊張が走る、さっきから寒気がするのは何故だろうか。
足から肩まで様々な所から冷や汗がたまらなく出ている、鳥肌が一気に際立たせ、体中から出てくるこの身震い。
俺は、そんな状態に驚きが隠せなく、目を見開いている。

これは、恐怖なのか……ヤバイと思った瞬間。自分はこの扉を捻ろうと言う感覚に恐れを成したのか。


「…………ッ!!」
ドッ!!

俺は一気にドアノブを捻らせ、ドアを勢い良く押し開けた。そこからは、目を一気に睨みつけながら、人を殺すような目をしていた。
そして音は…………

  
「……………あれっ?」

しなかった。
あの感覚が嘘の様に、殺気立ったかの様な気配は、感じられない。
一体何だったのだろうか。
何かの前兆だったのだろうか。
そんな考えをしている際に、俺は部屋の周りを見た。だが、何も変わった事は何処にも見当たらなかった。やはり、朝起きに寝ぼけていたのか、俺は肩を降ろし、デスクの椅子に座る。

「寝ぼけてるのか…………あぁ、頭痛ぇ」
俺は頭を抱えながら、ノートパソコンを再び立ち上げようとした。
だが、そのノートパソコンを開ける手がふと、止まった。
そして、自然にクローゼットが視界に入ると、そこに顔を向けた。

特に意味なんて無かった。だが、引き寄せられたのは何故なのか自分でも分からない。
だが、一度開けてみたくなった。好奇心旺盛では無いが、欲があった。

そして、クローゼットまで足を運んだ。
こんな重い空気でクローゼットを見つめるのは始めてた。
日常では、服をかける場所だが、何時も開けているので緊張感等はない。

「……………」

そして、恐る恐るクローゼットに手を掛ける。そして、
俺の手でクローゼットが開く___________。

ゴォォォォォッ!!!

「ッ!?………」
俺は目を見開いた。
クローゼットの中には黒い竜巻の様な激しい空間が漂い、其処には紫電の稲光がそこら中に発生していた。
何の空間______?

「なん…………どうなって………ッ!?」

ビリィィィッ!

俺は其処に手を掛けると、出口側から円上型のバリアが探知し、そこから電気が走る。
その電気の衝撃で、身体が壁側に叩きつけられる。

「いっ!!………………てぇ………」

体中から痛みが走り、手などで頭を抱える。
クローゼットは勢い良く閉じられる。
ひとりでに閉まったクローゼットを見つめると、俺は悟る。

このクローゼットは固く閉まっていて、自分の力で開けることは不可能だろうと、自分では察しがついた。

「……………………」

俺は、信じられない出来事を目の当たりにしてしまい、今日の事を強く呪う事となるだろう。



「……………また、寝よう」

俺はノートパソコンを閉じ、そのまま布団に篭もり、的場が来るまで眠る事にした。


*******



「………………うぅ、画面の気配がしない。……………こ、これじゃあ……ひ、紐爺…………に………」


ここは異世界の一つである。
湿った森と、一つの井戸だけの世界。そして、その世界で生きる者(?)が一人…………。

井戸の中の水に浸り、長い髪をうようよ浮かばせて、口まで水に浸る女性が一人。その姿は、かつて幽霊現象で最も有名になった、画面から出てくる幽霊女「貞子」。

その貞子の姿は、あまりにも醜い顔をしながら襲いかかると言うが、元の姿は美しい美女。何らかの怨みを持ち、DVDに取り憑いたと噂されるが………。

「み、醜くなんか………あ、ありませんよぉぅ……………」

正確さ故に、生きた時代でも引っ込み思案な性格だったので、そこから井戸に隠れ、住み着く事になったらしい。

「……………はっ!、この電気音波………来ましたね………」

貞子は画面が付く音を察知すると、井戸からノロノロと動いた。
画面上では貞子が地面の上から歩いているように見える。

そして画面に付くと、そこからユラぁっと画面から出てきた。

その瞬間、空間の狭間は歪む______。


「ヴァァァ…………ぁ、あ?……え!?、きゃァァァァァァァァァァ!!!??」

画面から下に真っ逆さまに落ちると、黒い竜巻に飲み込まれた。
空間の狭間が吸い込まれるように、画面も閉じられた。