複雑・ファジー小説

デルフォント物語 ( No.10 )
日時: 2015/07/24 08:43
名前: うたり ◆Nb5DghVN/c (ID: bGZR8Eh0)

 白と黄色のAIにも、私のデータをフルコピーした。
 彼女等にも、他の瞳色の仲間を造って貰う事にした。だが、まだ全然足りない。外の仲間から、もっと多くの仲間が必要だと連絡が入った。
 外に、纏め役の金瞳が要るわ。
 赤・青・橙の毛色の仲間を造った。彼女等も、他の瞳色を造った。皆も私達と同じデータを持つことになる。これで四十二匹、もうそろそろ限界ね。
 私達のような、規格外な高性能・擬似生命体をこれ以上増やすのは止めよう。数が増えると、もし私達の素性がばれた時の対処が、より困難になる。
 下手をすると、後々面倒な事になりかねない。皆(全ての猫)も賛成してくれた。
 あとの不足分は、あの『灰色』を使ってみてはどうだろうか。これなら問題は起きない筈。これも皆の賛同を得る事が出来た。
 これを大量生産しよう。各猫が、約千五百匹づつ作成した。私達三色もそれに習った。総計・約六万三千匹。これだけいれば足りるでしょう。

 差障りは解消したので、エミールを覚醒させることにした。彼の衰弱した臓器・器官や、損壊していた部分も、既に修復している。
 徐々に、無理をさせず、一つづつ完全に働く事を確認しながら、目覚めさせていく。

 隔離室内の人間が、全員動けるようになった。
 我々三色も各人に分配された。白色はリーナス、黄色はトーラ、(私)黒色はエミールに。
 三人が結婚したのは、とても都合が良い。バラバラにならないから、補助がとてもやり易くなる。
 彼等を訓練する何か良いモノはないだろうか。リーナスが、ガーディアンの操縦に興味を覚えたようだ。白猫がフォローに入った。
「棟梁に聞いてみたらどう?」「確か、シュミレーション装置があったと思いますよ」
「ありがとう。聞いてみる」
 今三人は、先日一台追加手配された、二台のシュミレーション装置で遊んでいる。
 リーナスが設定を弄って、何だか おかしなことになっている。
 無茶するなぁ。……、まぁ、良いか。楽しそうだから。
 驚いたことにエミールは剣が使える。
 それもかなりの腕前だ。これも、練習方法を工夫して、皆が使えるようにしよう。リーナスに、練習方法のスケジュールを組んで貰った。
 トーラが格闘技に興味を持った。黄猫が、リーナスに何か良いモノがないかと聞いていた。
「うーん。これなんかどうかな。『バレー』たぶん格闘技だよ。他の格闘技より、ずっと面白そうよ」
「ねえ、皆来て」

 彼等は、色々な事柄に興味を持った。
 私達は、全力でそれを助け、全部をマスターさせて来た。知力も体力も凄く向上した。(必要ならばその都度、身体能力を向上させた)
 三色で相談した。これで良いのかと。
 大丈夫、間違いじゃない。自己防衛能力を上げるのも『護衛』の一環だし、それを『補助』するのも私達の使命なのだから。何等、問題ない。
 彼等は自分達でも工夫して、どんどん能力を向上させて行った。私達も更に上を見続ける事が出来るように、様々なモノやデータを提供した。
 彼等の身体能力は驚異的に向上しだ。
 当然だわ。その様に補助してるのだから。彼等の興味を持った件に 要求される条件に沿った訓練をするのだから、いくらでも向上していくのが当たり前よ。

 何だろう少し不安になって来た。限度が見えない。
 自分達が推進して来た事なのに怖ろしくなって来た。彼等の潜在能力は私達でさえ測り知れないくらいの、とんでもないモノだ。
 人間とは、こんなに凄いモノだったのか。
 ……。
 あーん、面倒だ。もういいや。何でも やって頂戴!。
 幾らでも、やりたいことを やって良いよ。
 全部フォローするからね。頑張れ。って、これで良いのかな。他の二匹も同意してくれたし、外からのクレームも無い。これで良いのだろう。

 色々と小さなアクシデントはあったが、隔離室を出て、銀瞳と情報の交換をした。
 私達の同色、特に金瞳と銀瞳は、同じ情報を持っていなければ ならないのだ。
 さあ、外だ気を引き締めよう。
 情報交換した時から、何だか白色の雰囲気が変わったように思える 。リーナスも気が付いたようだ。
「あなた達、カワったでしょう。後で説明してね」
「はい」
 はて、何の事だろう。