複雑・ファジー小説

Re: 神童は幸福を想 【1話完成!オリキャラ募集なう 】 ( No.2 )
日時: 2015/07/27 04:32
名前: 廃人君 (ID: JIRis42C)

彼女は幸せだったはずだ。才能に恵まれ、環境も理想のように輝かしかった。
たが、彼女はある日を境にして全てを断ち切った。
周囲との関係、そして心もーー…

1話  それ、神プリ(某乙ゲーキャラ)の信司じゃん!

ここ、埼玉県さいたま市大宮区は日本国内でも都市と言える。人口も多く東京程ではないがビルも多く建ち並んでいる。
その都会の中…いや、世界中で最近流行りの「引き篭もり」という名の人間が生み出されている。

引き篭もりと言うのは、部屋や家から一歩も外に出ずにいることであり、主に学生から成人が大半を占めているため大体の人間は、パソコンや携帯でネットにふけっているのが大体な例である。

そんな典型的な例よろしく、私ーー西之谷愛理耶17歳。今年に入り見事祝い引き篭もり2年目を迎えた。

毎日パソコンの画面に向かい、某動画サイトやアニメをしらみつぶしに漁り最近では〇天やAm〇zonのネット販売を利用をするようにもなり、太ることはないが(体質)筋力は既に落ちまくり1階にある冷蔵庫の行き来まで苦になってしまった始末だ。

その経験から学び部屋には小型の冷蔵庫を備えられた。名前はキンキン。

そして今、僕は興味本位から取り寄せた悪魔教本と呼ばれるなんとも胡散臭い真っ黒な厚みのある本を手にしている。

オカルト類いに少し興味が湧き、愛用Am〇zonの手を借りありとあらゆる道具を集め悪魔召喚というものを実行しようと試みている。

「これでいい、のか…?」

ペンタクルという悪魔の陣を書き終え、準備完了。
「我は汝を呼び起こさん穢れし魂よ我の願いを聞き給え…」
正に厨二病とも言える呪文だが、悪魔が召喚されなくとも別にいい。元々出てくるとは思えないし…

「——っ!?」

突然の光に咄嗟に目を腕で覆う。1分経つか経たないかの数秒。その光は嘘のように静まった。
腕をおろし、目をそっと開ける…。

「…うわぁ!?」

馬…?いや、馬頭?頭部にあるのはまさに馬そのもの。胴体はイギリス式と思われる軍服。下半身は馬の尻尾があり上着同様イギリス式のものとブーツ。
僕はパニック状態で腰を抜かし震え上がっていた。

「あ、悪魔?何かのジョーク…?」

そう聞くと、真顔で
「いえ、正真正銘の悪魔ですが」
とか返してくる。喋ったし、中に誰かいるんじゃ?とか思う。

「え、いや、マジで僕召喚…しちゃった…?あああ…」

本当に出来るなんて思ってもみなかった。目の前の悪魔は、表情一つ変えずこちらをじっと見つめてくるし、何を言えばいいのかサッパリだ。

「…願いとは」

自ら告げてきた馬頭の悪魔。

「私の名はオロバス。あなたの願いをすべて聞き入れよう、そして魂は食らわない。そばに仕えさせていただきたい…」

そう、言い放った悪魔—オロバス—は僕の前に跪く(ヒザマヅク)と、そっと手を取り手の甲にキスを落とした。すると、一人の青年の姿になり僕を見上げる。

「……それ、神プリ(某乙ゲーキャラ)の信司じゃん!なに変身してんだよ!!!」
「えっ!?」

手を跳ね除け立ち上がると、オロバスをひょろひょろの蹴りを飛ばす。

「僕の愛してやまない信司が…ああ…」
「す、すみません…。」

頭を抱えベッドに顔をうずめる愛理耶に訳の分からないオロバスは、必死に頭を下げる。

「すみませんじゃねーし!あ、契約ってどうすんの?仕えるとか魂いらないとかなんか言ってたけど…」

さっきとは打って変わって冷静になった愛理耶は、なんとも言えない雰囲気を醸し出している。

「私は、契約者…人間と親睦を深めたいのです。魂は喰らわずとも悪魔は生きていけるのでございます。四年に一度喰らえば大体は生きていけるので」
「……そっか。契約書とかいるの?」
「はい。」

オロバスは半皮紙を取り出すと、そこに自らのサインをした。
…悪魔の字だろうか。エノク語にも見えるが違う気がする。

「貴方様のサインをここに書いていただければ契約完了となります」
「…契約内容は?」
「命の保証と貴方様の願いを全て聞き入れること。勿論不可能な事は含まれません。そして主従関係の成立となります」
「主従…?僕があなたの主人になるの?」
「ええ。その通りです」

オロバスの向けてきた笑顔は、儚くも裏のない笑顔だった。
僕はしばらく考えて、「わかった」と頷くと契約書にサインをした。

「…!」

サインし終えたと同時に、半皮紙は二つのネックレスに姿を変えた。ネックレスについているのは、床に書いたあのペンタクルがぶら下がっている。

「契約完了となります。このネックレスは貴方様と私の契約の証となります…なくすことのないよう…よろしくお願いたします…ご主人様」

僕は思った…この悪魔の語る一言がどうして嘘のないように聞こえるのだろうと、悪魔ならイヴに禁断の果実を食べさせる時のように…悪に満ち足りていてもおかしくないのだ…。だがこの悪魔は違う。

「…こちらこそ。僕の名前は西之谷愛理耶。今日からよろしくおねがいします」

まるで助けを求めているような…そんな気がしてならなかった



無事1話を書き終えました!オロバスが馬というより犬に見えたのはここだけの話()