複雑・ファジー小説

Re: 神童は幸福を想 【1話完成!オリキャラ募集なう 】 ( No.3 )
日時: 2015/07/27 05:52
名前: 廃人君 (ID: JIRis42C)

2話 何故…学校に行きたがらないのですか?

あれから数日。僕の生活は180度変化した。

高校生の身である僕は全く学校に通っておらず、学校からの電話や訪問も全て無視している。この前までは毎日パソコンに向かい、幸せを満喫していたのだ。だが—…

「愛理耶様、本日も学校には行かないのですか?」
「…」
「学校は将来の為に役立つ勉学を身につける場所だと聞いています。行かないと損なのでは」
「…オロバス、うるさい」

パソコンに向かう僕の傍らに立つオロバスは、あの後自分は引き篭もりだと言った僕をひどく心配し解決しようと動き始め、やはりまずは生活リズムだ、学校登校だなどと聞きたくない言葉を連投し始めてきた。
まるで子供を心配する親を思い出させる…。

「申し訳ありません。ですが…」
「僕のためって言いたいの?」
「…えぇ。やはりまだ将来のある身ですから…」

僕ははぁ、とため息をつくとサイト更新の為打ち込んでいたキーボードから手を離しオロバスに振り向く。
相変わらずの信司の姿に目を奪われるが、そんなことはどうでもいい。

「僕は絶対に学校には通わない。誰にどう言われようが、僕は一歩もここから出ないから」

そう言い放つと、僕はパソコンに目を戻しサイト更新へ再度精を出し始める。
すると、オロバスは「わかりました。ではまず健康的になるために生活リズムは整えましょう」と静かに背後から告げる。

「へ?いや、何言っt」
「学校のことは後回しです。いいですね?」

そう言ってくるオロバスの声は、今までのトーンとは全く違い殺気を放っていた。
恐る恐る振り返ると満面の笑顔で、僕を見つめていた。

「いいですね?」
「ウィッス」

———数時間後

僕は昼夜とか関係なく眠くなったら寝る、お腹がすいたらご飯を食べるの生活であり、お風呂も必ず一日に一回入っているし別に不衛生なわけでもない。睡眠不足でもないので不健康ではないのだ。

「12時過ぎましたね。今ご飯を作ります」

そう笑顔を向けてくるオロバスは、正に天使信司。乙ゲーよりも現実味溢れる…!
だが、その天使につい先程まで一日の生活プランから、室内での運動を体を鍛えるためだとかでみっちり仕込まれた。

地獄だ、ついていける気がしない。
でも、いくら仕えるからってこんなにするものだろうか?

「…このレモンティー美味しい…」
「ああ…ありがとうございます。それはこの家にあったレモンをお借りしてハチミツと砂糖を混ぜて作っただけですよ」
心の底から嬉しそうに微笑むオロバスに、僕はとっさに呟いた。
「……主婦か」
「え?」

聞こえなかったのだろう、聞き返してくるオロバスに「なんでもない」と言い放ちでかい大窓から外を見つめる。
リビングであるここは、母がとある大企業のお偉いさんであるおかげであまり帰ってこないということで、僕が満足出来る家具しか備えられていない。
今ゆるモデルハウスのようなものだ。
「…雨、か」
降り出してきた雨に呟くと、キッチンから香しい匂いがしてくる。
「明日は、台風が日本列島を通過するようで大雨になるそうですよ」
そう言いながら料理を手にリビングに運んでくる。

「…ハンバーグ」
「ええ。お好きですか?」
「…嫌いではないな」

好きだと言うと、なんだか恥ずかしい気がして遠まわしに答える。
しかも和風に大根おろしとネギが乗っているあたり、かなりマメだ。僕がカロリー高いのを嫌うことを、部屋のゴミ箱やキンキン(冷蔵庫)の中身から察したのだろうか。

「…ありがとう。」
顔を伏せながら椅子に座ると、オロバスは驚いたかのように目を見開くとまた満面の笑みを浮かべ「はいっ」と返事をした。

手を合わせ食べ始めると、中々美味しかった。手料理はかなり久しぶりだが母より美味しい気がする。
味のバランスも絶妙だし、なにしろ食感が凄い。

「…美味しい。オロバス料理得意なんだ」
「ありがとうございます。無駄に年重ねてませんからね」
「…ああ、なるほど」

出会った日のつぎの日、オロバスは自分が20の軍団を率いる悪魔であり、知識が豊富。そして1500年生来ていることを告げた。
つまり現代でいえば『体は高校生。中身はクソジジイ』と言ったところか。

「…一つ、立ち入ったことを聞いてもよろしいですか?」
「…どうぞ」
オロバスは箸の手を止め、こちらを見つめる、
「愛理耶様は何故…学校に行きたがらないのですか?」
「っ…」

ハンバーグを切っていた手がずれ、カチっと皿にぶつかる音がした。


2話め前半完了。愛理耶のツンデレさは自分で書いてても萌えた