複雑・ファジー小説
- Re: 神童は幸福を想 【1話完成!オリキャラ募集なうコメかもん 】 ( No.4 )
- 日時: 2015/08/07 01:41
- 名前: 廃人君 (ID: SsOklNqw)
二話後半 回想1
———二年前———
僕は当時、まだ高校に上がったばかりの頃まで、俗に言う「マニュアル型人間」というものだった。
というのは、親や学校の先生に教わったことを守り、世のため人のために行動する。正に教科書どおりの毎日を、小さい頃から送っていた。
生まれた時から、恵まれた環境に育った。
母は大手ファッション企業の働き手。父は、TVで何度か紹介されるような凄腕の料理人でフランスへ行っていた。
母しかいないような環境でもしっかり愛情は注がれ、小さい頃から家庭教師を雇われたかいもあり、生まれながらの才能から小学校、中学とで常に人の上の更に上をいき「神童」と呼ばれていた。
人付き合いも良かった。母親も父親もそこそこの美形だったため、愛理耶は童顔よろしく子供ならではの美貌を放っていた。
愛くるしい程の笑顔と透き通るような美声。母には「周りの人たちとはちょっとだけ仲良くなっちゃいけないこともあるの」と教えられ、程よい距離を周囲と保っていた。
そのおかげもあってか、周りより目立ちすぎても常に中立の存在にいた。
だが、いくら愛理耶が秀才でも、学校というのはいろんな人間が集まるもので、ろくな環境に育たなかったひねくれ者が一人や二人…いや、沢山いるものだ。
そのため、中学生のある日__魔が射した。
「愛理耶ちゃん、明日私と一緒に遊びに行こうよ?」
同級生の子と遠出をするのは良くあることだった。
だが来週はテストであり、母にはテストの二週間は遊びに行くのは禁止と言われており、すぐに断った。
だがその時__
「真面目すぎだよ〜、親のことなんか気にしないでさっ。ね?」
いつもはすぐに頷いてくれる友人が、今回は何故か強引になった。
そして、自分のことを真面目だと言う。
(真面目…?私が?)
ほんの少しの揺らぎに、自分は負けてしまった。
約束したその日は、母は仕事で家におらず自分は罪悪感とともに、少し浮かれていた。
_だが、友人とたっぷり遊び帰ってくると、家のドアが開かなかった
これまでになかった焦りと緊張で、咄嗟に母に連絡を入れた。
すると___
「こんな簡単な約束1つ守れない子はうちの子供じゃないわ」
———頭を強く殴られたような衝撃が脳裏に走った
約束を守らなければ、自分は居場所などない。家族に家族だと認めてもらえないのだ。
遊びに行ったことを酷く後悔した自分は、これまで以上に真面目になり周囲から畏怖される存在となった。
そして日は経ち高校へ——————