複雑・ファジー小説

Re: 月の女神と夜想曲 ( No.3 )
日時: 2015/08/13 20:56
名前: 凪砂 (ID: 0qnzCmXU)



様々な光彩を放つ星屑が、水中の夜空に散りばめられている。
それらは蒼く揺蕩いながらゆっくりと西から東へと動いていく。

ここは蒼揺そうゆ
魚座の星将の司る星である。

水面下では甍が所狭しと並んでおり、帝都の中心にはひときわ豪華な竜宮城がそびえ立っている。
その竜宮城の客間で、龍宮王と呼ばれる30代半ばの男ーーハイトが、訪ねてきたイザヤと対談していた。

「よぉイザヤ。今日はどうした。大事な用か?」
「ええ。こちらを見てください」

世間話もなしにイザヤは早速本題に入る。
差し出された紙を見たハイトは、顎に少し生えた無精髭を撫でながら考え込んだ。

「……なるほどねぇ。月の女神か」
「この二人で決定しますがよろしいですか?」
「いいんでねぇの?俺細けぇことわかんねぇし」
「……そうですか。わかりました。では、そういうことで」

本題は呆気なく終わり、イザヤは紙を懐にしまうとふぅ、と一息ついた。
その仕草を見て、ハイトは青い髪を揺らしながらくつくつと笑った。

「にしても、あいつら懐くかねぇ?一癖も二癖もある奴らだ」
「さぁ……そこが心配ですね」
「だよなぁ。とりあえずあいつらにも知らせとくか。召集かけるぞ」
「はい」

果たして、二人の憂いが晴れることはできるのかーー。
それは、まだ誰も知る由もない。