複雑・ファジー小説

Re: 月の秘密とさいごの誓約【修正期間】 ( No.19 )
日時: 2015/09/15 21:44
名前: 真冬 (ID: 7dCZkirZ)

「ふざけんな!!」
飛び交う怒号

「お前があのときあんなこと言わなければーー!!」
崩落する足元

「何言ってんの?ーー」
ひどく、リアルで

「うるさい!!お前だってーー」
何もかもが断片的で

「それ以上言ったらーー」
恐怖さえ感じる

そんな、夢の世界

「上等だよ!!」

ーーーーまた、朝が来る。






*第1章/2話『荒くれ忠犬』


その日わたしは、不思議な夢を見た。

その夢のせいか、何時もより早く目が覚めたわたしは、まだ日も昇りきらない、ひんやりとした空気の中、縁側で綺麗な朝焼けを眺めていた。

夢も気になるが、やはり一番は別にある。

三日前、生誕祭の夜に月使の一人である貢 十一が月下村に居ることが分かった。
なので、あの後すぐに月夜深家当主という立場を利用し、貢十一の住所を調べ上げた。

流石に、本格的に月使を探し始めるにあたって、色々やることがあったため、翌日からという訳にはいかなかった。
が、それも昨日で終わり、やっと動けるようになった。

貢十一について村人が教えてくれた事は、先代のわたしの父を慕い、常に付き従っていたが、三年前に他界してわたしが当主になってからは余り姿を見なくなった、というものだった。

わたしはそこまで聞いて、そういえばいつも父親と一緒にいた男がいた事を思い出した。

ただ、わたしは会うと悪寒がするし、相手もわたしを好いてはいなく、逆に邪険に扱ってくる。
その為、何時からかお互い徹底的に無視を決め込んでいた。
そのせいか、姿を見なくなったという事も、ましてや月使の霜月と呼ばれる存在であった事も知らなかった。

まあ、新月も知らなかった事だし、周りも貢が月使という事は村の一部の者が辛うじて知っていただけだったので、わたしが知らなかったのは仕方がなかったのかもしれないが。

今までは心底会いたくなかった相手だったが、現状一番の手掛かりを見す見す逃すわけにはいかない。
だから過去の事は水に流して、ちゃんと話し合いをする覚悟を決めた。