複雑・ファジー小説

Re: スピリットワールド【合作】 ( No.1 )
日時: 2015/08/15 21:28
名前: 凜太郎 (ID: kct9F1dw)

 カァンッと音をたてて、僕が振った竹刀は相手の面に直撃した。
 僕は竹刀を握り直しながら呟く。

「まだ、まだ足りない・・・・・・ッ!」
「いや、もう十分お前強いから」

 この剣道部の部長の田中 大和が苦笑いをしながら言った。
 両親に勧められて入った剣道部。
 入ったからには完璧になりたかったので、努力しているうちに優勝候補。
 でも、まだ足りないんだ。
 もっと上に行けるはずなのに、頑張ってもこれ以上は強くなれない。
 うーん・・・やっぱり身長のせいなのかな・・・?(155cm)
 なんて、関係ないか。

「っていうか、もうすぐ2時だぜ?俺ももう帰りたいし、夏休み始まったばかりだし。もう今日は帰ろうよ」
「・・・・・・分かった」

 鞄から着替えとタオルを出した時、ラインが来ているのが分かった。
 見ると、友達の伝斗からのメッセージだった。

『今から近所の研究所に侵入しようと思うんだけど、どう?』

 それに対し椿が『みんなが行くなら行きます』。
 時雨が『もちろん すぐいく』とのこと。
 僕は『行くけど、遅れる』と送ってから、急いで着替えた。

−−−

「空。もう何分経ったと思ってるんだ?」
「いや、その・・・部活で自主練に励んでいたら、すでに2時で・・・」

 伝斗の色素が薄く、ほっそりした拳が僕の顔面にめり込んだのはその0,5秒後だった。
 ホント、その細いモデルのような体のどこにそんな力があるんだい?(汗)
 しかもそれで僕より身長が10cmも高いのだから羨ましい。

 そしてそれを見てゲラゲラと笑う時雨。
 いつものようにポップなTシャツに短パン。
 黒い髪をツインテールにしている。
 よく人の事をからかうのが好きな意地悪少女。
 名前と性格が合わないよな、ホント。

 そしてそんな中で優雅に微笑んでいるのが椿。
 黒い髪を腰まで伸ばし、暑いのにブラウスとロングスカートを着ている。
 いわゆるthe・お嬢様。とにかく美女。

 まぁクセのある奴らだが、なんだかんだで仲良くやってる。
 クセのある、なんて人のこと言えないけど。

「さて、それじゃあさっそく侵入しよう。この柵をのぼってさ」
「いや、そもそもなんで侵入なんて・・・。おい、人の話を聞け」

 僕の声に振り向く気配もなく、ヨジヨジとのぼっていく。
 すばしっこい時雨なんてすでに柵の中だ。
 仕方ないかと柵に手をかけた瞬間、カッと目の前が光る。
 直後、体が引っ張られるような感覚がした。
 友人たちの姿は見えない。
 何か叫ぼうとした瞬間、意識が途絶えた。