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複雑・ファジー小説
- Re: スピリットワールド【合作】 ( No.7 )
- 日時: 2015/08/19 20:54
- 名前: 雅 ◆zeLg4BMHgs (ID: .HkLA/wn)
「……」
ここは、どこだ。
———————
さてつい数分前、俺はある研究所のフェンスを越えようとしていた。そして落ちた。
今俺の目の前には高い崖がそびえ立っている。
「……」
誰か説明してくれ、何でフェンスが崖に変わっているんだ?
俺なんか悪いことしたか? いや、したな……うん、悪いことしかしてなかった。それは認める。
でもだからといってフェンスと崖は別物だろ! 登るなんて絶対無理だからな!?
あと頼みの綱はこの上にいるであろう3人なんだが、いっこうに俺を助けに来るような気配はなく、というかひと気すらない。
さっきから頭上を大きな鳥みたいなのがバサバサ行き来してるし、どうなっているんだ?
大人を呼びに言ったならともかく、まさかあいつら本気で俺を置いていったんじゃないだろうな……?
ふっとよぎる憧憬。
置いていく……。
“なんで帰ってこないの? ねえ、何で……”
……ああ、嫌いだ、この感じ。
ずっと昔のことなのに、何で思い出してしまうんだろう。
あーあ、嫌だなぁ。
振り切るように立ち上がる。
せめて誰か探さなければ。
「置いていかないって、思ってたんだけどなぁ……」
ついうっかり本音が漏れたけど、きっと誰も聞いていない。
そう信じて歩き出した俺の上をまた大きな黒いものが飛んでいった。
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