複雑・ファジー小説
- Re: スピリットワールド【合作】 ( No.13 )
- 日時: 2015/09/01 14:53
- 名前: 雅 ◆zeLg4BMHgs (ID: .HkLA/wn)
息を切らしつつ、何とか森を抜ける。
疲れた。
こんなことなら部活でも何でもやって、体力つけておけばよかった。
ああ、バスケ部もサボっちゃったしな。反省。
……してる場合じゃない!
そんなくだらないことを考えているとその少女は急に立ち止まった。
俺も立ち止まる。
どうやら、どこかの廃れた町に来たようだ。どことなくレトロな雰囲気が漂う。
「ここまで来れば大丈夫!」
「お、おう、ありがと……」
ありがとうとは言ったものの、ここどこ?
きょろきょろしていると、その少女は手(いや、羽?)を差し出した。
「僕はシルフ 見ての通りハーピーだよ よろしくね」
「……おう」
とりあえず軽く握手。
……。
どんな反応を返せばいいんだ?
「見ての通り」とか言われちゃったけど、腕の代わりに羽生えてるし、
どこからつっこんでいいんだろう?
「えーっと」
「君もしかしてキオクソウシツ?」
「え?」
何で今そんな単語が出てくるんだ?
まあいいや、実質何もわからないし、そのほうが都合がいい。
「うーんと、そんな感じかなー」
「ところでキオクソウシツって何? 木置く草室?」
俺の頭の中で丸太が大量に運び込まれた草だらけの部屋を想像した。
いや、違うだろ。
「記憶喪失って言うのは、なんかいろいろ今までのことを忘れちゃうみたいなヤツ」
「へー 老化現象のヤツに似てるね
そういえば老化現象って廊下減少っぽくない? 廊下減っちゃう!」
「たしかに、まあ……」
……あれ? 何かだんだんわけがわからなくなってきたぞ? これ何の話だ?
とにかく今の現状把握のほうが大事だろ。
「あのさ、それで俺いろいろ思い出せないんだけど……」
「とりあえずお兄ちゃんに会いに行ったほうがいいんじゃない?」
「お兄ちゃん……」
お兄ちゃんとやらを想像してみる。
肩から翼が生えて、腕がなく、でもって他は人間……。
だめだ、頑張ってウチの学校の校長で想像したけどシュールな感じになった。
たぶん校長がハゲてるから悪いんだな、うん。
なぜこのシルフ? とか言う彼女を見ていて違和感がないのか。
何でだろう、どこかで会ったことがあるような……。
「ホラ! お兄ちゃんのところ行くよ!」
「お、おい、ちょっと待てって」
少しもたついただけなのに彼女はしかめっ面をして、
「何やってんの!? ここだって今日はまだ落ち着いてるけどすぐ狙われるんだから!」
「だから何がだよ!」
「国王軍に狙われるの! 戦争中ってことぐらい、知ってるでしょ!」
俺は何か言おうとして、何も言えなかった。
「ま、待て! また走るのかよ!」
「早く! あんまり大声出すと危ないの!」
「全然意味わかんねぇし、お前のほうが大声だろ!」
「静かに!!」
「お前がな!」
何だかんだと叫びながら俺とシルフは走り出した。