複雑・ファジー小説
- Re: スピリットワールド【合作】 ( No.26 )
- 日時: 2015/10/10 18:09
- 名前: 凜太郎 (ID: 1Fvr9aUF)
「グハァッ!」「ガハァッ」
みんな僕に斬られて倒れていく。
自分とは思えないくらいに、体が軽い。
もっと、もっともっともっともっと、速くッ!
僕はそのままの勢いで建物に入った。
その時、目の前に少年が現れた。
よく見れば、それはさっき助けようとしたら武器を構えてきた奴だ。
デント、とか呼ばれてたっけ?
「・・・・・・そ、ら」
名前を呼ばれて、反射的に体が止まる。
なんだ?コイツは僕のことを知ってるのか?
「・・・・・・ソラじゃん、なんだ驚かせるなよ
髪染めたの? すげーイケてる、カッコいい・・・・・・よ?」
そう言って笑顔を浮かべた。
僕の脳みそはすぐにフル回転する。
多分、コイツは敵だ。
なにかで僕のことを知ってて、ひとまず殺されないように話を合わせようとしてるんだ。
その思考に辿り着くのに大体1秒。
我ながら、素晴らしい思考速度だ。
さて、敵ならやることはただ一つ———殺す。
僕は左手の刀をソイツの喉元に向けて思い切り振った。
しかし、かがむことによってかわされる。
彼の頬から血が吹き出した。
「ちょッ、待て、待てまてまて、マジたんまタンマ死ぬ死ぬ!!!」
何言ってるのコイツ、待つわけないだろ。
死ねよ、さっさと。
僕は追撃しようと右手の剣を振った時だった。
バギっ!と背後から音がした。
振り返ろうとした時、白いモフモフした感じの影が突っ込んでくる。
ぐはっ!
「お兄ちゃん!じゃないじゃん!伝斗じゃん!僕は急いできて損した!」
「シルフかよ!・・・・・・とりあえず、マジ助かった!サンキュー!で、どいてくれ!」
シルフ、とやらがちょうど僕の上に乗っており、その下でデントが文句を言っている形。
せめて口論は僕が抜け出してからにしてくれないかなぁ・・・。
てか、僕はこれって踏んだり蹴ったりっていう状態じゃん!?
神様は、どうしてこうも僕に不幸を与えるのだろうか・・・。
「あーッ」
突如、シルフは僕の顔を見て叫ぶ。
うるせー・・・。
「キ、き、きょ、きお・・・」
きお?
「・・・・・・き、テキ、敵だ!」
「『お』関係ねぇ!」
なんか、もう反応するのもめんどくさい・・・。
その時、シルフは何かを思い出したような顔をした。
「いいや、とりあえず僕たちは撤収!ここを出ないと危ないかもって言いに来たの!」
本当に危ない状態なのか、焦った様子で建物を出て行った。
今、女子なのに僕って言わなかった・・・?
しかも、改めて見てみれば羽生えてるし・・・。
「おい、行くぞ」
いきなりそう声をかけられたので顔をあげると、デントが僕に手を差し出していた。
・・・あれ、この状況どこかで・・・。
『いったぁ〜』
『あはは、何やってんだよ』
『うっせぇ』
『ははっ、おい、行くぞ』
ズキンズキンと頭が痛くなる。
僕はひとまず、お言葉に甘えて彼の手を握ることにした。
もし騙されたとしても、彼くらいの力なら僕なら普通に勝てるしね。
しかし、外に出た瞬間、僕は絶句した。
業火に焼かれる戦場。
血の焦げる臭い。
焼かれていく仲間、魔物、革命軍の兵士たち。
今日は、厄日のようです。