複雑・ファジー小説

Re: スピリットワールド【合作】 ( No.27 )
日時: 2015/10/24 02:56
名前: 雅 ◆zeLg4BMHgs (ID: KNtP0BV.)


燃え盛る炎。肉の焦げるにおい。
俺このにおい嫌いだわ。なんかイライラしてきた。
とりあえず、この炎をどうにかして、ここから出て、それから空に話を聞こう。
空に話を聞いてから、次に……サラマンダーだな。サラマンダーに話を聞こう
まずここから脱出しよ。

「空、お前水とかない? 消火器……とか」
「……あるわけないだろ」

ですよね! 俺も持ってないもん!
どうしよう、こんだけ大きな火だと消すにも消せないし……。
……飛び越えるか。

「よし! あの木だ! あの木に登るぞ! 行くぞ!」
「なんで僕まで……!」

振りほどかれそうになった腕を必死につかんで駆ける。
数日振りの感覚。なのに懐かしいのは異境の地だからか。
俺の作戦は、こう。
まず、木に登って、そこから飛び降りる。火をと備考得るように。
たったそれだけのシンプル・イズ・ベストな作戦。
単純だって? でもそれくらいしかできることがない。

「早く上るぞ!」
「そんなんで越えれるわけがないだろう! というか君は馴れ馴れしすぎるッ」

うん、空らしいご指摘。馴れ馴れしいって言ったって普段からこんな感じだけど。
でも、火を超えるのはやっぱり無理なのかなー。
だけどどうにかしないとマジで俺燃えちゃうよ?
何とか空を引っ張りあげようとしたとき、急に空がばっと後ろを振り向いた。

「僕はここだ!」
「……どうした?」
「えーっと、友人が呼んでる」
「……友人」

友人って言う言い方敵に時雨や椿ではない。  ・・
お前もう仲いい人見つけたの? あの空なのに? あの空だよ?
……まあ昔と今は違うってことだな。成長ってやつか。
それにしてもコイツ、妙に五感が鋭いというか。元からといえば元からだけど。
俺まったく聞こえないんですけど。これってまさか難聴!?(違います)メニエール病!?(違うってば……)

「伏せろ!」
「はい!?」

次の瞬間、大量の水が頭上に落ちる。
水が降るというより、水の塊が落ちる。
音も立てずに火が消えた。助かった……。

「ソラ君!」

少女の声。確かに『ソラ』といった。
そして、今度こそ俺の腕を振り切って駆け出す空。
そのまま闇の中に消えていった。

「空! 待てって……」

振り向きもしない。俺には何もわからないまま分かれてしまった。
ただ沈黙と闇だけがそこにある。

「とりあえず、寝よ」

俺はまたもや木によじ登った。

“『馬鹿と煙は高いところが好き』って、本当ね”

そんな椿の顔を一瞬だけ思い出した。