複雑・ファジー小説

Re: スピリットワールド【合作】 ( No.32 )
日時: 2015/11/03 21:07
名前: 凜太郎 (ID: 1Fvr9aUF)

「ぅぐ・・・顔いてぇ・・・腫れたかな・・・・・・?」

 なんとか立ち上がるが、これまたどうして顔が痛い。
 触った感触で分かる。これは漫画に描いたような腫れ方をしている。
 クソォ・・・あの巨人馬鹿力だな・・・。

「く・・・ん?なんだこれ」

 刀を拾った時に、粉々になった飴のようなものが売っていた。
 そういえば、市場に飴細工の店があったような・・・・・・?

「わざわざ買ったのかよ、これ」

 その時に他の兵士は殺せなかったのかよ。
 なんだかイラついたので飴を踏みつけてさらに壊す。
 うわ、靴の裏に破片が付いた。最悪。

「・・・・・・帰るか」

 顔の腫れは冷やせば治るだろう。
 酷ければ魔法でどうにかならないかな。
 そんなことを考えながら市場を歩いていた時に、本屋を見つけた。
 僕は本が好きだったような気がする。
 なんとなく入ってみた。
 すると、本が所狭しと、視界を奪う。
 僕は近くにあった小説を手に取り、ペラペラと読んでみる。

「おぉ。面白いな、これ」

 他にも色々読んでみて、気に入ったものを持ってレジに行く。
 お金はラキからお小遣いを多少はもらっていたのでそれを使って買う。

「おや、君はたしかラキちゃんのところの・・・」
「あ。ソラです」

 僕が言うと店員のおじさんはニッコリと笑った。

「昨日は大活躍だったらしいじゃないか。期待の新人兵と巷では有名だよ?その顔も、昨日の怪我かい?」
「そんな期待だなんて・・・僕なんてまだまだです。この怪我も、さっき革命軍を見つけて殺そうとしたら、別のに殴られて」
「それは大変だったね。まぁまたすぐに戦いはあると思うから、その時は期待してるよ?」
「はい。頑張ります」

 そんなこんなで本を受け取って帰宅。
 ラキは台所で夕食を作っていた。

「あ、おかえり〜。ご飯、もう少しでできるから」
「了解」

 僕はひとまず本を近くの棚に置くことにした。
 すると、写真たてが一つ置いてあった。
 見ると、小さい頃のラキと、(多分)革命軍のリーダーが写っていた。
 2人とも笑顔だった。

「ラキ。これって・・・」
「え?あっ・・・」

 ラキは写真たてを手に取ると、悲しそうに顔を歪めた。

「サー君。急にいなくなっちゃって・・・どこ行ったんだろ・・・」
「その人・・・今革命軍のリーダーやってるよ」
「え!?」

 僕の言葉を聴いて、目を見開いた。
 その後で、か細く呟く。

「なんで・・・・・・なんで何も言わずに・・・・・・」

 僕は何も言えなかったので、本を持って2階に上がった。
 今日は、夕食は遅くなりそうだな。