複雑・ファジー小説

Re: スピリットワールド【合作】 ( No.34 )
日時: 2015/11/14 22:52
名前: 凜太郎 (ID: 1Fvr9aUF)

 今何が起きたのか、僕には理解できなかった。
 二人の少女が僕に近づいてくる。
 僕は震える声で、呟いた。

『なんで・・・僕は生きているんだろう・・・』

 今の呟きは、誰にもきかれなかったようだ。

−−−

 目を開けると、読みかけの小説が広がっている。
 気付けばうたたねしていたようだ。
 僕は本を閉じて、ゆっくりと伸びをした。
 断片的に記憶は戻りつつある。
 少しずつ記憶が戻って分かったのだが、どうやら僕は昔から不幸体質なようだ。
 悲しいかな。
 まぁ、どうでもいいけど。
 僕は椅子から立ち上がり、ドアを開ける。
 すると、ちょうどラキがドアの前に立っていたので、ぶつかってしまった。

「あ、ごめんなさい・・・。何度か呼んだけど、出てこなかったので」
「いや。僕こそごめん。うたたねしてて」
「そうなんだぁ。とりあえず、ご飯の準備できたから、食べよう」

 一緒に一階に下りた僕は食卓を眺める。
 今日は、野菜スープにパン。ハンバーグにサラダか。
 いつもよりちょっとだけ豪華だな。
 僕とラキは向かい合わせに席につき、食事をとる。
 あの革命軍のリーダーに関してはあえて触れないでおく。
 いつものように他愛のない会話をしながら完食。
 居候の身なので、少しでも役に立とうと皿洗いをする。
 ラキはそれにお言葉に甘えて、魔法書を読んでいる。
 読むのがめっちゃ早いので、最初は少しビビった。
 そういえば、この国の識字率は想像以上に高い。
 なんと、この国の人間は100%が文字の読み書きができるらしい。
 しかも、英語は半数以上が扱えるらしい。
 僕もなぜか難なく使えるが、原因は不明だ。

『なぁなぁ空。勉強教えてくれよ』
『俺は馬鹿じゃねえよ。お前ができすぎるんだろうが』

 あぁ・・・頭が痛い。
 僕は洗い終わった皿を棚に並べ、部屋に戻る。
 枕に顔をうずめる。
 ダメだ。記憶が蘇ってはダメだ。
 脳内のもう1人の自分がそう言うのが聴こえる。
 目を逸らすなっていう声も聴こえる。
 やめてくれ・・・。
 嫌な感覚だ。
 頭が、頭が痛いんだよ。

『空。もう何分経ったと思ってるんだ?』
『空ひっかかりすぎだよ〜。意外と単純なんじゃん?』
『空さん。大丈夫ですか?』

 ドクン、ドクン、と鼓動が早くなる。

『ごめん。勉強教えてくれよ?頼む。この通りだ』
『空ってホント完璧だよね〜。イタズラにひっかかりやすいところ以外は』
『空さんはなんで言い返さないんですか?』

「やめろッ!」

 どこにでもなく、そう叫んだ。
 汗がすごい出ている。
 なんでこんなに記憶が蘇るのが嫌なのか、よく分からない。
 でも、ダメなんだ。
 よく分からないけどダメなんだよ。
 ごめんなさい。僕はヘタレです。
 弱虫です。
 治せそうには、ないです。