複雑・ファジー小説
- Re: スピリットワールド【合作】 ( No.37 )
- 日時: 2015/11/24 21:15
- 名前: 雅 ◆zeLg4BMHgs (ID: KNtP0BV.)
次の日、俺は相変わらずサラマンダーのベッドで目覚めた。
そろそろ敷布団でいいから用意してほしい。
そして、今日は隣にサラマンダーがいない。もう起きたのか?
そして食卓(切り株?)に向かうと、ノームが一人で朝食を食べていた。
「おはようございます、トライデントさん」
「……おはよ あと伝斗でいいから」
うーん、なんかむずむずする。
やっぱり朝の挨拶なんて久しぶりすぎて、慣れない。
今日の朝食は———豆。
「……こんだけ?」
「ええ、今日はシルフが動けないので」
ああ、そうか。シルフが大抵の食べ物集めてるみたいな感じだったもんな。
これはさすがの俺も腹が減るわ。おなかギューギュー鳴ってる。
ノームといい、サラマンダーといい、何故あのがっしり体型を維持できるんだ。
「サラマンダーは?」
「リーダーは、ちょっと戦争仕掛けに行ってます」
「ふーん……そうなんだぁ……」
戦争ってそんな簡単に言えちゃうものなの?
何その『ちょっとコンビに行ってくる』みたいな。軽ッ。
「でもトライデントさんが来てからちゃんとベッドで寝るようになったし……。
……変わらず睡眠時間は短いようですが」
「ああ、あいつ何時に起きたの? ……あと俺は伝斗でいいってば」
「さあ、いつも10時に寝て2時に起きてましたが、今はどうなんでしょう」
……。
何、あいつって馬鹿なの? 睡眠時間は大事って教わってないの?
子供は寝て育つのに、あいつこれ以上背が伸びなくてもいいのか?
そんなんだと今は変わらない身長もあっという間に俺が伸びるぞ! 成長期の恐ろしさ、見せてやるよ!
「そういえば、何であんな幼いやつがリーダーなんだ? もっと強そうな人がいるのに」
「いえいえ、リーダーほど強い人はなかなかいませんよ」
そうか? 俺にはノームのほうが断然強そうに見えるけど。
力なんて雲泥の差だろうし、経験もあるし。
それにあいつ革命軍とか、人間は敵みたいなこと言って、人間だし。
なんていうか、根本が馬鹿?
「まあ確かに、もともと彼の父親がリーダーだったと言うのもあるかもしれません
でも、彼は強いですよ 勇気があるというか、私たちが躊躇うようなこともやってのける」
「父親?」
「ああ……彼の父親はドラゴンなんです」
ノームが微笑みながらいった。そしてその瞬間、俺の頭が酷く混乱した。
「あれ……あいつ人間だろ? 親がドラゴン? 親ドラゴン?
あいつが子ドラゴン? 子供がドラゴン? コドモドラゴン? コモドドラゴン?」
「あ、えっと……彼はですね、わかりやすくいうと……」
と、ノームのとっても分かりやすくて、とっても長い説明をまとめると、
・サラマンダーは父親がドラゴン、母親が人間という世にも珍しい混血種。
・容姿が人間なのはおそらく遺伝子的に人間の要素が強く出ているから。
・一応ドラゴンの容姿にもなれるが、体力の消耗が激しいので、日常生活のほとんどを人間の姿で過ごしている。
・しかし、彼はあくまでドラゴンだと主張しているので、まあそういうことになっている。
……ちなみにここまで理解するのに30分はかかったと思う。
「なんか難しいけど、要するにハーフなんだな
リーダーやってるのは単純に父親のあとを継いでるだけ」
「いや……そうでもないんですが……まあ、詳しいことはまた今度お話します」
複雑なんですよ〜、とノームは微笑んだ。
この人、見た目ごついけど表情とか、すごく優しい感じがする。
……お父さんって、感じ。
まあ俺にはよくわからないけどなー。
「さて、私はまた畑にでも行ってきます
向こうの街とかに顔を出してみてはどうですか? あなたは……人間ですし」
……。
あ、そっか。俺人間か。サラマンダーに対して疑問だいてる場合じゃないんだった。
「うーん、まあちょっと気になるし、いってこようかな」
「気をつけてくださいね、こちらより治安もよくて穏やかですけど、危険が潜んでいますから
あと、私はお金を持っていないんで、お小遣いとは言えませんが」
ノームに渡されたのは、袋に入った豆。
要するに、腹が減ったら食えって事か、物々交換しろって事かな。
お礼言って、腰に袋をつけて、町に歩き出した。