複雑・ファジー小説
- Re: スピリットワールド【合作】 ( No.38 )
- 日時: 2015/11/26 21:30
- 名前: 凜太郎 (ID: 1Fvr9aUF)
「うわぁ・・・うわ、わぁぁ・・・」
「さっきからこのガキうぜぇ!」
敵の兵士を相手にし始めて10秒経っただろうか。
向こうは必死っぽいんだけどハッキリ言って弱い。
元々訓練とかには時間とか割いてないのかな?
もしくはすっごい弱いやつに集中させてるとか?
さすがにそれはないか。
僕はひとまず兵士の首を飛ばし、一度立ち止まった。
しかし、なんていうか・・・。
「拍子抜けだな・・・」
見た所、どの兵士もさほど強くない。
正直僕がいなくても勝てそうな感じだ。
そんなことを考えていた時、背後から殺気を感じた。
咄嗟に振り返ると、大きな刃が目の前に迫って来ていた。
「うぐぁあッ!?」
「・・・ッ!かわされたか」
なんとかしゃがみこみ、醜く転がることで距離をとる。
見ると、この前のドラゴン少年がやけに長い刀を持ってその場に立っていた。
よく見ると刀は炎を纏っている。
・・・・・・魔法か。
「まさかまた会うなんてな」
「ん?会ったことあったっけか?」
あらら、記憶にも残ってませんか。
さすがにそれはショックだな。
「一昨日の戦地で会ったよね?」
「悪い。真面目に覚えてないんだ」
頭の中でブチッと音がした。
僕は一気に距離を詰め、左手で持った刀を思い切り振った。
甲高い音をたて、あっさり弾かれてしまう。
僕はすぐさま体制を立て直し、右手に持った刀を首元に振る。
しかし、それも弾かれる。
ダメだ、これじゃあ先に僕の体力が尽きてしまう。
僕は一度バックステップの要領で距離をとった。
このままじゃダメだ。何か意表をつける攻撃をしかけなければ・・・。
ん?意表・・・?
僕は右手に持った刀を見た。
もしかしたら、やれるかもしれない・・・。
僕はすぐにサラマンダーに向かって突進した。
サラマンダーは素早く刀を構える。
それを見て僕は、刀を上空に投げた。
「えッ・・・?」
サラマンダーはそれを見て驚いた顔をした。
あたりまえだ。
まぁつい昨日読んだ小説で出てた方法を真似しただけなんだけどね。
僕はそのまま両手で刀を握る。
強く踏み込み、振りかぶり、面ッ・・・。
『空〜。今日もやってんな〜』
『また部活サボったのか』
『いいじゃん別に』
あれ、面って・・・たしか・・・ッ!
「サラマンダーッ!危ないッ!」
どこからか聴こえた声にサラマンダーは我に返り、体を横にずらす。
しかし、ザシュッと音をたててサラマンダーの体を斬った。
鮮血が吹き出す。
「ぁ・・・ぁぁ・・・」
「つッ・・・」
目の前で蹲るサラマンダー。
そして近くの地面に刀が綺麗に刺さった。
今一瞬、記憶が蘇りかけた・・・。
多分、もしかしたらもうすぐ記憶が戻るのかもしれない。
いや、今はどうでもいいか。
僕はゆっくりと、刀を振り上げた。
「リーダーッ!」
このリーダーは、一体どれだけ人望が厚いのだろうか。
気付けば腹部に激痛が走り、僕はその場に倒れこんだ。
見れば、腹にナイフが刺さっている。
誰に刺されたかは分からない。
僕の意識はゆっくりと霞んでいった。