複雑・ファジー小説

Re: スピリットワールド【合作】 ( No.43 )
日時: 2015/12/13 22:12
名前: 雅 ◆zeLg4BMHgs (ID: KNtP0BV.)



鋭くとがれた刃。くすみ一つない刀身。
なるほど、昔からこだわるソラらしい刀だ。
もっとも、今は彼が俺の知っているソラかどうかも怪しいが。

「伝斗、早く寝ろ お前が寝ないと俺も寝れない」
「先に寝ればいいじゃん」
「嫌だ。怖い」

サラマンダーの一言に思わずふきだしそうになる。
必死に笑いをこらえているが、サラマンダーにはバレているようだ。

「怖いって。怖いって何だよ 怖いって」
「怖いものは怖い そのまんまの意味だろ」

子供かよ。
コイツ怪我してからいろいろおかしい。
あれ? でも怪我する前もおかしいといえばおかしかったっけ?
でも、これでも革命軍のリーダーだろ。

「うるさい、リーダーでも何でも怖いものは怖い。
寝るということは、一番無防備になる
いつ攻められるか分からない いつ殺されるか分からない
だから寝るのは怖い できるなら寝たくない」

? よくわからないが、とにかくこいつがビビリってことでいいのかな?

「ビビリじゃない。俺は強い。
敵が多いだけだ」
「ああ、国王軍? あれは仕方ないだろ
大丈夫だって、お前人望圧そうじゃん」
「人望なんてない 革命軍の中でも俺を嫌うヤツは多い。
そもそも俺みたいな混血を受け入れるやつは少ないんだよ」
「……」

よくわからんが、なんか、めんどくさい。
たかが怪我したぐらいでいじいじしすぎでしょ。

「よくわからないけど、落ち込むなよ!
ほら、俺お前いいヤツだと思うし」
「……寝る」

寝るんかい!
この流れで寝る!? 寝ちゃうの!?
……って言う間にも、もう寝息を立てている。速い。
寝るのが怖いって、なんなんだよお前。マジ意味不明。
そういえば親とかっていないのかな。
あ、親の後次いで何とかって言ってたな。
死んだのか……まあ、この状況だしな。

「親いないなら、俺と仲間だな……」

もっとも、俺の場合死んでないけどね。
こんなこと考えてる場合じゃないか。俺も早く寝なきゃ。
ソラの刀を、少し迷ったのち、近くに置かれていた大袋につっこむ。
中に硬いものが入っていたようだが、暗くてよくわからない。まあ、いいよね。
この刀、まだしばらく返すつもりはない。
明日、これを持って町にいく。まだ聞きたいことは山ほどある。
忘れたって、何だよ。ついにお前まで俺の存在を否定するわけ?
隣町での冒険も、裏山の秘密基地も、全部忘れたって。
あの日傷つけたことも、手を取ってくれたことも、忘れたって言うのかよ。

「突き放すんだったら、最初から救ってくれなければいいのに……」

ダメだ、ちょっとナイーブになる。泣きそう。
……ああ、もう、なんて言うか、全部サラマンダーが悪い!
お前がなんかグチグチしてるから俺もマイナス思考じゃん! もう寝る!
サラマンダーから布団をひったくって、頭から被った。
……やっぱりこの布団は、狭い。