複雑・ファジー小説
- Re: スピリットワールド【合作】 ( No.50 )
- 日時: 2015/12/28 08:43
- 名前: 凜太郎 (ID: 6kBwDVDs)
気がつけば、こんな気味の悪い少年が出来上がっていた。
誰が、ここまで狂えるだろうか?
ここに来る際に、頭を強く打ったことは覚えている。
それだけで、大切な友人のことを忘れ、しかも殺そうとするなんて。
義理の両親の期待に応えるために頑張ってきた剣道で、僕は人を殺した。
今更許されるわけがない。
もう、僕に居場所なんて、ない。
「もう・・・冬か・・・」
息が白い。
僕たちの世界では夏だったというのに。
異世界ってある意味すごいな。
あはは、今思えば当然だよな。
少なくともこの世界に自分の居場所なんて求める方が悪いんだ。
僕はこの世界にいるべき存在ですらないのに。
もちろん、あの世界に戻ってもそれは変わらない。
伝斗たちを、僕は裏切ったのだから。
今僕は橋から川を眺めている。
ここから飛び降りれば、自分の居場所をみつけられるだろうか。
そんなことを考えながら顔を上げた時、グレンさんが軍隊を引きつれてどこかに行こうとしていた。
僕はそこn駆け寄る。
「あの、何をしているんですか?」
「あぁ、ソラ君。前に君は革命軍の拠点を見つけただろう?折角君が兵士をかなり倒したんだし、潰しに行こう、と国王がね」
国王が?
まぁ、僕は手応えだけでもかなり殺したと思う。
記憶を取り戻した今では吐きそうになる。
というか一回吐いた。
「そうなんですか」
「あぁ。そうだ、君も来るかい?」
まるで飲み会に誘うかのように僕を誘う。
僕は即座に断ろうとすたが、考える。
僕が行かなければ、伝斗が死んでしまう。
僕が守らなくて、誰が守る?
サラマンダーやノームとやらは、伝斗を守りきることなんてできるわけがない。
僕は彼に、借りがある。
まともに返せたことなんて、一度もない。
じゃあ、やることは一つだ。
「行きます。でも、今は刀がないので、取りに帰っても良いですか?」
「あぁ。分かった。俺達は先に行ってるから」
「はい」
僕は曖昧に答えを濁してから、ラキの家まで走って戻る。
地面を蹴って、なんとか辿り着く。
扉を開けると、ラキがいた。
「ソラ君ッ・・・」
「ラキ、ごめん。今からちょっと、拠点を潰しに行ってくる」
「そう・・・分かった。でも、ちょっと待っててね」
そう言って奥の部屋に行く。
その間に刀を腰に提げる。
少ししてラキは何か紐のような物を持ってきた。
「・・・それは?」
「お守り。魔法石に私の魔力を込めたの。これを縛っている紐を解いたら魔力が解放されるの」
そう言って僕の首にかける。
革製だろうか、すべすべした感触だ。
その縄で、黄緑に青い縦線が入った色をした石が縄でしっかりと縛られている。
「ありがとう。あと、ラキ・・・」
「なに?」
「もう、戦地には来ないでくれ」
「え?」
「君はいつも戦地に来る。正直、僕には守りきれそうにない」
「私は自分で自分の身は守れるから・・・」
「ダメだ!」
声を荒げてしまう。
昔から僕は変わらない。
身勝手で自己中心的で行動も短絡で。
完璧になんてなれるわけがない。
「ごめん・・・でも、来ないでくれ。僕は君を危険な目に遭わせたくないんだ」
「・・・そっか。ごめん、私も勝手で・・・」
「じゃあ、行ってきます」
「うん。いってらっしゃい」
僕は家を出た後で、走る。
友人を守るために。