複雑・ファジー小説

Re: 子供と大人の闘い【オリキャラ募集中】 ( No.2 )
日時: 2015/09/28 21:27
名前: モンブラン博士 (ID: EhAHi04g)

「マロン君は退学になってしまったなんて、ショックです」
「所詮やつもその程度だったと言うだけに過ぎぬ。気にする必要はなかろう」

マロン少年が退学になって、数日が経った夜。
教師寮の一室で、ウェーブのかかった長髪に眼鏡をかけた垂れ目がちの瞳、オレンジのスーツ姿のおっとりとした雰囲気の美青年と、紫の髪に殺気立った瞳、純白の軍服を着た中年紳士が会話をしていた。
前者がマロンの担任であったカイザー=ブレッド、後者が彼の先輩教師に当たるジャドウ=グレイだ。
カイザーは平和主義者で温厚なのに対し、ジャドウは好戦的かつ冷酷で、敵を徹底的に痛めつけるのを快楽としている残虐な性質だ。
正反対のふたりであるが、意外と馬は合うようで、時折ふたりで互いの受け持つ生徒達について語り合う。
ジャドウは気落ちする同僚を慰めようと、自室からワイングラスをふたつとワインボトルを持ってきて、備え付けの小さな円型テーブルの上に置き、自身の好物である赤ワインをカイザーのグラスに並々と注いだ。

「気分が晴れぬ時は、一杯やって記憶を消し去るのが一番だ。この1972年物の高級ワインは他人には滅多に振る舞わぬが、他ならぬお前のこと、特別に飲ませてしんぜよう」
「……お気持ちだけ、受け取っておきます」
「カイザー、俺の親切心を仇で返すつもりか?」

多少の苛立ちを見せたジャドウは、その射抜くような鋭い紫眼で彼を睨む。その表情の威圧感にカイザーはびくっと体を振るわせ、今にも消えそうな小さな声で言った。

「私、お酒に弱くてすぐに酔ってしまうんです……」
「それは残念ですな」

弱い者に無理強いさせて飲ませるのは、騎士道精神に反する。
誇り高き中年紳士はそのように考え、代わりに自分のグラスに移し入れると一気に飲み干した。