複雑・ファジー小説

Re: 子供と大人の闘い【オリキャラ募集中】 ( No.3 )
日時: 2015/09/29 18:42
名前: モンブラン博士 (ID: EhAHi04g)

同時刻。
生徒のひとりである羽飼優斗(わかいゆうと)は、校長であるスターと対峙していた。
金髪碧眼に茶の三つ揃えスーツを着こなす紳士に、黒眼鏡をかけた茶髪の少年は、物怖じすることなく強い口調で言った。

「あなたは此処をどこだと思っている。此処はアカデミー、つまり学校だろ? 性格に難があるのなら、それを更生するための教えを説くのも、学校で与えられるべき教育のひとつじゃないのか!」

羽飼は、言葉を斬撃に変えて相手を攻撃する能力を有していた。
彼の言葉が相手の心をえぐるたびに、相手の体は切り刻まれる。
そして、彼が完全に対象者を論破したとき、そこにできているのは血の海地獄。その能力を駆使し、彼は以前いじめをしている生徒を殺害したことがある。
少年は、校長がマロンを退学処分にした理由が許せなかった。
性格がなっていないだけで、学校を辞めさせるなんて間違っている。
羽飼は己の言動に絶対の自信を持っていた。
そしてその自分ならば、マロンの敵を討てると信じて疑わなかった。
しかしスターは迫りくる刃にも全く動じず、笑顔で口を開く。

「教えを説くだけで改心させられるのならば、これほど簡単な話はないよ。もしそれが可能だと思うのであれば、君が自ら実践してマロン君の心を変えてみたまえ」

校長の発した一言で、衝撃波は消失してしまった。
予想外の出来事に、優斗は驚愕の表情で相手を見つめる。
スターは椅子から立ち上がって言葉を続けた。

「今の言動からすると、君は私達の教育方針に不満があるみたいだね」
「当たり前だろ。理不尽な理由で退学させるなんて、どう考えても間違っている」
「私に意見し、攻撃までしたとなれば退学は免れないのだが、それでもいいかね?」

顔は柔和な笑みを浮かべたままだが、声のトーンを少しだけ落としたスターに、羽飼は吐き捨てた。

「退学? やりたければやればいいよ。名ばかりのアカデミーなんて僕には必要ない! そこで洗脳されて操り人形になるヒーローも、世界には絶対必要ないから! 僕の意見が間違っているって言うんなら、あなたらまとめてぶっ手折(たお)してあげるよ!」

それだけ言い残し、勢いよく校長室の扉を開けて外へと飛び出した。
走っていく彼の姿を見送りながら、スターはくすりと笑い小さく呟く。

「やはり、外れてはいなかった」