複雑・ファジー小説

Re: 魔王様と落ちこぼれサキュバス。【オリキャラ募集停止】 ( No.22 )
日時: 2015/10/05 11:56
名前: ゐずみ (ID: q9W3Aa/j)

「ぜーっ、はーっ、つ、疲れたあ…。」

桜色の髪を靡かせながら、少女は逃げていた。

「んぐっ、ひっどいよ、ほんと!ちょーっと購買のパンとかジュースを盗んだだけなのにぃ!」

そういう彼女の手には、フランスパンと果実のジュースが握られている。

彼女、青蓮伽凛は人間であり、東の帝国に仕える者である。
東の帝国はここ最近力をつけ始めた力主義の国家であり、その特徴はこの世界では珍しい和名と黒色の髪と瞳、そして『妖術』と呼ばれる魔術のようなものである。

「あー、問題起こしたら帝王様に怒られるってのに!」

伽凛がリンという名前のオーガの14歳の少女という設定でで生徒として学園に入学したのは訳がある。

伽凛は、代々帝国に仕える忍者の一族の一人である。
そんな伽凛に帝王が下したのは魔王とその取り巻きに取り入ること、であった。

無茶だろうな、と伽凛は思っている。
何故なら、魔王とその取り巻きは警戒心が強く、能力もずば抜けているからだ。

「あーもー憂鬱!」

伽凛が叫んだ時だった。

「っはあ?どわぁっ、!」
「っ!?」

階段の踊り場に登ろうとしたとき、誰かとぶつかったのだ。派手に尻餅をつき、痛みに顔をしかめる。

「おい、大丈夫か?」
「ぜんっぜん大丈夫じゃないよ!ったくどこみてんの…さっ?」

ぶつかった相手を確認しようとして、伽凛はすっとんきょうな声をあげた。

相手は、この学園では有名なオーガのロッソだった。