複雑・ファジー小説
- Re: ジャンヌ・ダルクの晩餐 ( No.5 )
- 日時: 2018/12/26 20:07
- 名前: マルキ・ド・サド (ID: FWNZhYRN)
埼玉のとある高校にて・・・・・・
2019年が終わり冬の季節にも終わりが訪れていた。あと数ヶ月で校舎の中庭にある桜が花を咲かせるだろう。新たな1年がやってくる。とても喜ばしいことかも知れない。だが、本当の現実を見てみればそれが偽りだということが分かる。
「うぜえんだよ!!」
学校の教室の中で怒鳴り声が聞こえた。痛々しい音、よく見ると数人の女子生徒が何かを囲んでいる。その何かとは人間のようだ。同じ制服を着た生徒達がその人物を集団で蹴ったり殴ったりしているようだった。つまり集団リンチ、誰がどう見ても卑劣ないじめだ。
リンチはしばらく続いた。終わったのは5分後だった。
「あれれ?このブス死んじゃったかな〜?」
「死ぬわけないわ。ゴキブリは生命力が強いから」
「ホント、このサンドバック殴り甲斐が無いわね」
「楓、止めを刺してちょうだい」
「そのつもりよ」
楓と呼ばれた女子生徒は持っていたカッターナイフを手に取りチキチキと刃を出し倒れている女子生徒の手首に当てた。
「殺しちゃだめよ。遊べなくなっちゃうから」
「はいはい、分かってる」
手首にナイフが深く突き刺さる。傷口から真っ赤な液体が噴き出した。
「・・・・・・がっ!!」
虫の息だったがあまりの痛みに自然と声が出る。だが、これで終わりではなかった。刺さったばかりの刃を下へ無理矢理下ろしていく。皮膚と肉が切り裂かれ無論、血が噴き出す。
「がああああっっ!!」
苦痛どころではなかった。神経のある人間ならこんなことされて悲痛の声を上げない者はまずいない。ショック死しないのが不思議な程、この行為は麻酔無しで人体を解剖した事と全く同じ事だった。
「これは私達から楽しみを奪った罰だ!!」
そいつらの1人が女子生徒の腹に蹴りを入れた。これ以上はさすがにやばいと思ったのかナイフを抜き取りリンチはお開きとなった。冗談抜きで本当に危険な状態に地面に倒れた女子生徒は一応息はしている。
「はあはあ・・・・・・!」
涙と唾液と血液が床で混ざり込む。出血が激しかったため意識が朦朧としている。化膿したら大変なので無理に立ち上がりふらふらと保健室へ向かった。教室に隅では一部始終を見ていたクラスメイト達が佇み部屋を出る女子生徒をただ見ていた。
あれから数時間が経ち誰もが望むであろう待ちに待った下校時間がやってきた。生徒達が次々と教室を出て部活をするために体育館へ向かう者、居残りをして勉学を続ける者、何もせず自宅に帰宅したりこれからどこかへ遊びに行こうとする者とそれぞれ別れていった。
ちなみにさっきいじめられていた哀れな女子生徒はもう外にいた。右手に巻いた血色に染まった包帯が痛々しかった。それだけじゃない。殴られたり蹴られたりした全身打撲の跡も腕や足に残っている。女子生徒は痛みと震えが止まらない右手でポケットからスマートフォンを取り出した。電源を入れメール画面を開く。そして文字を打つ。
『"ハロー『詩織』、今からいつもの場所で待っててくれない?すぐ行くから"』
そう文字を打ってメールを送信した。すると着メロの音がなり返事が返ってきた。すぐに内容を確認する。
『"お疲れ様!今日は早いんだね?何かあったの?ちょうど私も例の場所で『香織』ちゃんに話さなきゃいけないことがあったんだ。待ってるね♪"』
女子生徒は画面を見て軽く微笑むとスマートフォンをしまい例の場所と呼ばれる所に急ぐ事にした。