複雑・ファジー小説

Re: 青恋物語【キャラ募集一時停止、題名変更】 ( No.24 )
日時: 2015/11/29 11:12
名前: キコリ (ID: JD5DDSYn)

 俺は柊と、なるべく一緒に行動するという約束をしている。
 何が起こるか分からない合コンにおいて、お互いに身の安全を図るためである。
 なので必然的に、俺と柊のペアが固定になるのか——と思っていたのだが。
「えっと、ひ、柊さん!」
「ん、なあに?」
 思った以上に寺田のアプローチが激しかった。しかも、一目惚れと聞いた時は流石に考え直せと言ったのだが、これはもう本気としか思えないために俺も強く口出しが出来ないのだ。
 一方、件の柊は上手いこと寺田と会話している。元来内面を見せない彼女なので、とりあえず心配はいらないだろう。
 問題は——ただ1つ。
「ねぇねぇ立花君、一緒に行動しようよ!」
「ちょ、ウチが先に約束してたんだけど!」
「……」
 何故か俺に纏わりつく、先程名前を聞いたばかりの女子2人組みだ。
 本気で誘っているのか、或いは何かの策略なのかは知る由も無いが、とりあえず俺は柊の保護という重要な仕事を担っている。誰かと遊ぶ分には吝かではないが、いずれにせよ柊を伴わなくてはいけない。
 ましてやこの2人は柊のことを毛嫌っているらしく、全くどうして良いのかが分からない。
「ヒューヒュー、早速両手に花じゃねぇか立花!」
 6人も女子を侍らす副会長には多分に嫌味を含めてからかわれるし。
「立花君!」
「たっちー!」
 もうあだ名つけられたし。全く、困ったものだ。
 こういうとき、合コンという場を利用して何かこの2人を引き離せるような言葉はないものか。
 普段恋愛や女子に興味を示さない分、レベルが足りなさ過ぎて成す術がない。
 なら思い切るのが一番か——
「わりぃ、俺もう他に目つけてる女子いるんだよ」
「!?」
 全員の視線が一斉に、少なからず驚愕の感情を込められてこちらに向く。
 しまった、これは悪手だったか——
「立花、ついに女に目覚めたんだな! おめでとう!」
「いらん誤解してんじゃねぇ」
「一体誰だよ? 名前言っちまおうぜ!」
「言うかアホ」
「えー、マジぃ? ウチとなら"色々"、してあげるのになぁ」
「色々ってなんだよ、これみよがしに胸見せつけやがって。貞操概念しっかりさせろ」
 整形でもしたのか、そう疑わざるを得ないほど豊満になった胸が大胆に露出されて俺は困惑する。
 ——すると、寺田方面で何やら動きがあった様子。
「ねぇ、寺田君」
「な、何すか!?」
 声裏返ってるし。
「私も気になる男子いるから、ハッキリ言っておくよ。邪魔しないでね」
「ッ!?」
 瞬間、ガーンという間抜けなオノマトペが辺りに響き渡った気がした。
 同時に、大袈裟に膝から崩れ落ちた寺田が「そんな馬鹿な」とか言いながら落ち込み始める。
 それはともかく、気になる男子って誰だ——純粋に疑問に思っていたら、柊の視線がこちらに向いた。
「——?」
「ふふっ、今夜は覚悟してね」
 これまた貞操概念を疑いかねない大胆な台詞と共に、柊はニッコリ笑いながら俺の腕を取って組む。
「わぁ、柊さん大胆!」
「なんだか素敵です〜!」
 でもって、柊に憧れているらしい年下の女子達が騒ぎ始める。
「いいのか?」
「何が?」
「変な誤解されて」
「いいじゃん、今は。それに私、立花君となら誤解されてもいいかなって思うよ」
「っ!」

 ——この時、不覚にもドキッとしてしまう自分がいた。