複雑・ファジー小説
- Re: 青恋物語【キャラ募集一時停止、題名変更】 ( No.28 )
- 日時: 2015/11/29 18:16
- 名前: キコリ (ID: JD5DDSYn)
————あの後。
当時の熱を少し残しながら、互いに恥らいつつも。あれを切欠に俺達の距離は大きく縮まった。
今やお互いに、無くてはならない存在だ。大切な人となって、想いを確認しあって、今に——冬休みの終わりに至る。
——で、俺はというと。
「宿題終わらねえええぇぇぇッ!!」
尻に火をつけながら、超高速でペンを動かしていた。
冬休みに出された宿題が山と積もっているのである。
「いつまでも遊んでるからだよ」
隣にはテレビゲームで遊ぶ柊——改め、静香の姿。俺の家に勝手に上がりこんできたのである。
「お前こそゲームやってるじゃんか。どうしてだ、この雲泥の差は!」
「ま、コツコツやってたからね。その差じゃないかな」
「畜生、こちとらまだ"余韻"に浸ってんのに、そんな暇すらないとか……」
答えを写すだけの単純な作業だし、量も夏休みのそれほど多くは無い。
なのに、これに限らずいつも思うのだ。どうしてこんなにやる気が出ないのだろうか、と。
やる気さえあれば——というよりは、終わった暁に何かがあればやる気スイッチもオンになるはずだ。
——と、何となく独りごちに呟いていると。ゲームを中断した静香が俺の背中に張り付いてきた。
「じゃあ、宿題終わったら気持ち良いことする?」
「……」
「あははっ、単純だね哲也! さっきより数倍早くシャーペン動いてるよ!」
「そりゃまあ、あれだし。その……あれだし」
「んー? 好きだからって?」
「……そ、そうだよ」
羞恥心から言いあぐねると、熱を含む吐息が誘うように俺の耳に降りかかる。
「早く、しよ」
「ちょ……」
——あの時俺は、弱音を吐いた静香の心の拠り所になると決めてこの関係に至った。
それが今では完全に"これ"だし、この調子ではまだまだ彼女の方が一枚上手(うわて)だろう。
でも、こんな毎日が何時までも続けば良いなと思う俺がいる。
何故なら俺にとっても、きっと静香にとっても、これは幸せなことなのだから。
彼女が思い描く"家庭"——どうか実現できると良いな。
「……」
俺は背中に静香を感じながら、まだ雪解けには程遠い窓の外を見ていた。
Fin.
〜あとがき〜
これにて柊静香編が完結いたしました。えにし様に、キャラクターのご提供について深く御礼申し上げます。
柊の過去に触れ一気に距離を縮めるという強引な方法でしたが、恋愛の初作品なのでどうかそこは見逃して下さい(汗)
このように、比較的短めのストーリーが各ヒロインに展開されていきます。
尚、完結した後でも作者の気まぐれによってアフターストーリーが追加されるかもしれませんが、そこはキャラの設定次第で長さや有無が決定しますのでご了承下さい。
それでは次、張り切って行ってみよー。