複雑・ファジー小説
- Re: 青恋物語【キャラ募集一時停止、題名変更】 ( No.29 )
- 日時: 2015/11/29 19:11
- 名前: キコリ (ID: JD5DDSYn)
梅雨も明けて、7月のある日。
期末テストを目前に控えているためか、学校中が慌しい。準備に追われる教職員に、勉強漬けの生徒達。俺もその、勉強という周囲の波に飲まれた1人になるわけで、周囲の友達と適当に勉強をしている。
場所は学校の図書館。冷房が効いている上に気軽に集まれるから、という理由でかなり生徒が多い。よって普段より少し喧しいが、どこも勉強の話題に尽きない様子。
うちの学校はそれなりに頭が良く、名立たる有名な大学に何人もの生徒を輩出している完全な進学校だ。俺も将来は早稲田あたりに進学したいなと思いつつ勉強しているが、しかしどこか面倒臭い感情を残しながら学校生活を送っているため将来は曖昧だ。
よって、勉強の効果は今ひとつと言えよう。
「あー、ちくしょー分かんねぇ」
目の前で頭を抱える、不良気取りの幸薄少年——七川稔もその一人。
3年生である彼は俺よりも上級生だ。なのにどうしてここにいるかと言えば、2年で習うはずの基礎が分からない所為で3年の勉強についていけないのだという。
「不良なんか気取ってるからっすよ」
「うるせぇ、お前に何が分かる」
「余計なこと言ってないで勉強しましょう」
隣から追い討ちをかけるのは、クラスメイトの撫川哀。
たまたま稲荷九太郎という知り合いを介して意気投合した結果、共にこうして勉強する中になった人だ。
見た目から地味な印象しかないし感情の起伏に乏しいが、話してみると案外普通の子だったりするのが彼女である。
「くそっ、何だって俺こんなこと勉強しなくちゃならねぇんだよ」
「大学へ行くため——ひっくるめて、将来社会に出たときに必要になる知識ですよ、七川先輩」
「これが? この回転体の面積求める方法が? この0と1しか並んでない数字が?」
「理数は最早、現代において必要不可欠です。将来小説家になるとしても、覚えておくに越したことはありません」
高校生で色々悟りすぎだろ——と突っ込みそうになったところを押さえ込む。
「あー! もう知らねぇ」
七川先輩は奇声と共にシャーペンを放り投げ、同時に勉強をも放棄した様子。
そんな彼を見て俺らは顔を見合わせ、素早く片付けて図書室を後にするのだった。