複雑・ファジー小説
- Re: 青恋物語【キャラ募集一時停止、題名変更】 ( No.36 )
- 日時: 2015/12/13 12:19
- 名前: キコリ (ID: JD5DDSYn)
- 参照: やーばい。ごちゃごちゃ感がパネェw
周囲は休日の住宅街だ。それも田舎の部類に入るため、物音など殆ど立ちやしない。
よって、リビングからの会話はそこそこ鮮明に聞こえてくる——はずであり、そんなことはなかった。
何故なら、開け放たれた窓から見るに、リビングには誰もいないからである。
「うーん、もどかしい」
仕方ないので、大人しく哀が出てくるのを待つことに。
携帯を弄りつつゲームでも遊び、某SNSサイトで友達と馬鹿話をしながら待つこと数分。
両親を背後に控えた哀が、どこかしら一皮向けたような目で現れた——と思えば、開口一番に「この人」と言いつつ、哀はいきなり俺の腕を取って自分のそれを絡めてきた。
「立花哲也——貴方ね?」
「は、はい? なんでございましょう?」
すると母親らしき人物が一歩前に出た。
父親のほうと言えば、我関せずといった様子で無言を貫いている。
「——出会って数日で付き合っていると聞いているけれど」
「何か問題でも?」
「うちの娘は単純だから良いわ。でも貴方の方はどうなの?」
「?」
「私達は曲がりなりにもこの子の親よ。簡単に差し出すわけにはいかない。そこで、貴方に付き合う覚悟が出来ているかどうかを聞きたいのよ。どうせ答えられないでしょうけど」
「あぁ、何かと言えばそんな事——愚問ですね」
「はぁ?」
確かに、何となく流れで付き合った感覚は拭いきれない。マトモに話し合うようになって数日——俺から見ても誰から見ても、恋人の関係に発展するにはあまりにも短いに違いないから。
だが数日といえど、その短期間のうちに何があったか——そこに視点を置けばいいだけの話だ。
あまり人間と深く関わってこなかった哀とは、悪い言い方をすれば単純な人であり、良い言い方をすれば純粋な人だと思う。まだ何にも染まっていないから、いずれにせよ彼女を言い表すならば"純"という言葉がつくわけだ。
俺的にそれは、親に懐く子供のようだと思う。だから傍にいてあげたい——きっとそれが俺にとっての、哀の母親が言う覚悟とかいうやつに当てはまるだろう。
所詮は俺の考えなので、否定されたら身も蓋もない。しかしそれ以前に、哀にとって俺が無くてはならない存在となったなら、それに答えてやるのが筋というもの。持ち込むべき恋愛感情は後回しでも良い。こうしている以上、いずれは知り得ることだから。
つまり、事は順番に解決するべきなのだ。でもって今大事なのは、目の前で手を伸ばす存在に自分の手を差し出すこと。
「……」
先程の哀と両親との間でどのような会話が交わされたか、俺は知る由も無い。
そんな中でも伝えたいことは伝えた。あとは、先方が如何受け取るか次第——さて、どうなる。
「——お人好し極まれり、ね。自分の都合より相手のほうを考える人なんて初めて見たわ」
「?」
「認めましょう、貴方達の関係」